レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「真実」(2019)です。
「万引き家族」でカンヌ映画祭パルム・ドールを受賞した是枝裕和監督作品です。加えて、この映画はカトリーヌ・ドヌーブ、ジュリエット・ビノッシュ等有名仏女優が主演してフランスで撮影された作品になっています。
ストーリーは、仏大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)は自伝を出版し、そのお祝いの為に米国で脚本家として暮らしているリュミエール(ジュリエット・ビノッシュ)と夫ハンク(イーサン・ホーク)とその娘がやって来る。
ファビエンヌの毒舌、意地の悪さは相変わらずだが、撮影中でセリフが出てこない等少し物覚えが悪くなったよう。
家族全員での夕食もフランス語でハンクに当たり散らして、フランス語喋れないハンクは何も知らずに・・・、リュミエールは頭にきて、自殺したサラとファビエンヌがセザール賞を受賞した経緯を問い詰めるのだが・・・
フランスでフランス人俳優を起用して作品を撮るのは大変だろうと察します。映画が始まると、やはり何だか全体に固い映画になっているようで、大変だったなと思います。
良く出来ていると思いますが、何がしらエリック・ロメール、クロード・ソーテ、ジャック・リベット等の作品が持つ軽さが欲しいし、ユーモアも欲しいと思います。
イーサン・ホークなんかいつも変な役をやっていますが、今回は彼らしくありません。ファビエンヌに馬鹿にされたら、ベルモンドの口調を真似して「俺は最低だ」くらいアドリブでやって欲しいと思います。加えて、娘の前で動物の物まねなんて。
例えば、役者だから、右手を拳銃に仕立てて、これはドロン、モンタン、トランティニアンそしてギャバンなんてやって欲しかったと思います。
いつも美しいジュリエット・ビノシュも演技的には一番ですが、何か女性としての華に欠けているようです。
一番の問題は、カトリーヌ・ドヌーブでミス・キャストではと思いますが。日本市場をターゲットに製作された映画の様なので、知名度から言えは彼女だと思いますが、何か重すぎて、例えば、ファニー・アルダン辺りを起用した方がもっと作品に軽快さが出て来るのではと思いますが。
題名も「真実」悪くありませんがやはり重く、もう少し軽さが出る題名の方が良いのでは。
最後に、サラって、交通事故で亡くなった姉フランソワーズ・ドルレアック(袋小路、柔らかい肌)をイメージしていると思います。私の好きな「10億ドルの頭脳」が遺作でした。享年25歳でした。本当に残念です。
このブログ作成にBD版を鑑賞しています。 八点鍾
追記 色々書きましたが、ファビエンヌの住んでいるあまり手入れが行き届いていない庭が前にあり、後ろが刑務所のあの古く小さな屋敷、あれは良いですね。住んでみたくなります。
ジュリエット・ビノッシュ ラ・ボエーム