レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

番外編 「アルキメデスの大戦」大和型戦艦は無用の長物だった?いいえ、使い方が間違っています。

レタントンローヤル館にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介するのはあの「アルキメデスの大戦」です。

漫画のことは知りませんでしたが、とてもユニークな視点、提出された計画書の見積金額があまりにも少ないので、無茶苦茶の見積を提出しているのだから、それを証明して大和型戦艦計画を潰そうというお話です。

巻頭のマーク・ミッチャー率いる艦載機と大和の死闘シーンは素晴らしい出来栄えで、あの「男たちの大和」を凌ぐと思います。が、それからは延々と図面やら計算式やらドラマが続きますので、興味のない方は退屈するかも。でも、興味のある方は面白い映画だと思います。山崎貴監督の「永遠のゼロ」より視点が面白いし、リサーチが良く行き届いています。最後の決定会議、黒板の前で色々と問答するシーンはまるでヒチコック「引き裂かれたカーテン」そのものでなかなか楽しいシーンになっています。

ただ、観客の皆さんは空母を中心とする機動部隊の有効性については巻頭のシーンで知っていますが、当時、どこまでそれが有効なのかは山本五十六でも半信半疑だったと思います。ただ、ロンドン、ワシントン会議で主力艦制限をやもう得ず受け入れていた日本海軍は、英米と戦うには海軍の空軍化ということで、ほぼベクトルは合っていたと思います。

井上成美中将が及川海軍大臣に提出した「新軍備計画論」では、太平洋に点在する島嶼を航空機基地化することで来襲する米国太平洋艦隊を迎え撃つ計画で、この計画が一番低予算だったと思われるが、いずれにしても当時の日本の生産設備は、大量生産に適してはいなく、最近よく言われるように史実通り大和型戦艦を建造し、日米交渉の時、野村大使が大和型戦艦資料をあえてリークして、米国に譲歩を迫る使い方が最も最適な方法だと思われます。これにより対米戦を回避でき、無用の長物などと言われることはなかったものと思われます。                       八点鍾

補足説明

映画の中では説明がありませんでしたが、日本海軍は46センチ砲がどうしても欲しかった。理由は、米海軍はパナマ運河を経由して太平洋に来るので、その運河幅による制約を受け、戦艦の装甲板はそれ故、厚くすることが出来ず、46センチ砲があれば、敵戦艦をアウトレンジで撃沈できる計算だった。

日米交渉時、ドイツ国防軍はモスクワを攻めあぐねており、これを日本が知っていたら、米国が大和型戦艦の存在を認知していたら、抑止力としての効果を最大限に発揮して、歴史のイフが起こっていたかもしれません。

f:id:wedplain:20190815063407j:plain

f:id:wedplain:20190815063434j:plain