レタントンローヤル館

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番外編「ファーストマン」あの伝説の映画「ライトスタッフ」の続編?

レタントンローヤル館にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ファーストマン」(2018)です。

 

あの「ライトスタッフ」では、チャック・イェーガーの音速突破に始まり、ゴードン・クーパーがジェミニ宇宙船で地球を120周するところで終わりますが、この映画はアームストロングがX-15実験機で高高度飛行シーンから始まります。ドキュメンタリー映画のようで、色彩も抑えめです。

 

この監督、ディミアン・チャゼルはまだ30代半ばというのに、前作「ラ・ラ・ランド」ではアカデミー監督賞を受賞し、この作品では前作と全く違う演出スタイルを観客に見せてくれる。今後の作品を見ないと分かりませんが、意外と間口の広い演出スタイルを持ちつつある監督だと思います。

 

ニール・アームストロングを演じたライアン・ゴズリングは余り口数が多くなく、まるでメルヴィル映画に出て来る主人公のように感情を押し殺して寡黙だ。映画の中で、感情を露わにして叫ぶのは妻ジャネットを演じるクレア・フォイだけだ。「蜘蛛の巣を払う女」のリスベットも良かったが、この作品もとても良い。

 

後半、月面着陸のミッションも一人称カメラで淡々と描いていく。時々、若くして亡くなった娘カレンの思い出のシーンがインサートさる。ラストシーンも隔離された部屋で受話器を取ってジャネットがなにやら話し始めるが、ニールはただ受け答えるだけ。

 

「ライトスタッフ」では、ケン・ラッセル風ウェルカムパーティーとか「俺が世界一の操縦士だ」と軽口を叩く男たちがいたが、この作品にはそんなシーン、そんな奴はいない。静かな映画だ。そして、それがとても味になっている。

このブログを作成するにあたり、BD版を鑑賞しています。         八点鍾

 

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