レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

番外編「ジェラシー」ニコラス・ローグ監督の傑作

レタントンローヤル館にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ジェラシー」(1979)です。

男女がクリムトの「アデーレ・ブロッホ=バウアーⅠ」「接吻」の前で鑑賞しているシーンにトム・ウェイツのインビテェンション・トゥー・ザ・ブルーズがかぶさるところから始まるこの映画、巻頭から素晴らしい。画面が変わり、深夜のウィーンを救急車が疾走する。ストレッチャーの上の若い女ミレナ(テレサ・ラッセル)は、自殺未遂で多量にアンフェタミンを呑んだようで、隣には恋人と思しき男アレックス(アート・ガーファンクル)は、今までのことを回想し始める。

そうこの映画の魅力は、時間軸をバラバラにして乱暴に繋ぎ直した編集であり、又既存の挿入曲の新鮮な魅力だ。ミレナはチェコスロバキアから来た女で、躁鬱病と言ったらいいのか、愛情表現は激しい。独身のようだが、結婚しているようだ。

アレックスは精神科医で、時々NATO軍の仕事をしており、軍からミレナとその夫のことを調査するように言われている。二人は時にすごく仲の良いカップル、時々激しく毒づき合う。ミレナの愛読書は「シェルタリング・スカイ」。病院につくと、ミレナは手術室へ、アレックスのところにハーヴェイ・カイテル扮するネッエル刑事がやってくる。彼はアレックスの行動に不信を抱き、ミレナの自殺幇助で上げるのではなく、酩酊状態の彼女を強姦したのではないかと尋問するのであった・・・

ニコラス・ローグ監督は一部にコアなファンが存在して彼の「地球に落ちてきた男」「赤い影」の作品評価が高い。私もその意見に賛成ですが、どちらかと言えば「ジェラシー」の方を高く評価します。巻頭シーンから素晴らしく、時々キース・ジャレットのケルン・コンサートが挿入され素晴らしい効果を上げています。3人の共演者はいずれも素晴らしく、特にハイエナのようなハーヴェイ・カイテルが強い印象を残す。

エンドクレジットにかぶさるビリー・ホリディのザ・セェイム・オールド・ストーリも物凄く効果を上げていて、心地よい気持ちになります。

このブログを作成するにあたり、DVDを鑑賞しています。       八点鍾

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