レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

番外編「グリーンブック」ところであなたにとってアカデミー賞は?

レタントンローヤル館にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「グリーンブック」です。

ところであなたにとってアカデミー賞ってどんな位置づけですか?私はただの参考にしかしていません。特に作品賞などは、いずれも良い映画ですが本当にこの映画でいいのでしょうかというものがあると思います。これは選考方法に一因があると思います。

例えば、1969年のアカデミー作品賞は「オリバー」ですが、どんな映画かご存知ですか?皆さんはこの映画が存在していたことすら覚えていないのじゃありませんか?

作品賞にはあの「2001年宇宙の旅」がノミネートすらされていません。一般に言えることですが、アカデミーはエッジの利いた作品を嫌う傾向があります。ですから、あのヒチコックもいまところリドリー・スコットも無冠の帝王なのです。

さて、昨年の作品賞を得た「グリーンブック」ですが、色々と話題を呼びました。まず、監督がピーター・ファレリーです。「メリーに首ったけ」(1998)「ライラに首ったけ」(2007)を不幸して鑑賞しているのであのタイプの映画かと思い、中々劇場に行く勇気がありませんでした。

今回BD版を鑑賞して、とてもいい映画であることは確認できましたが、やはり色々とファレリー色が残っていますが、気になるほどではありませんでした。特にトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)はファレリー色全開ですが、鼻につくことはありませんでした。モーテンセンの個性が中和剤の働きをしたのでしょうか?

お話は、1962年秋ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒をしていたリップは、ナイトクラブの内装工事のため職を失うが、ドン・シャーリートリオのコンサートツアーの運転手の職にありつき、そのツアー一部始終、クリスマス・イブにNYに帰宅するまでの映画で、ちょっと口汚く言わせてもらうと、少し前フランス映画で「最強のふたり」(2011)という映画がありました。その映画の米国ロードムービ版といったところです。

キャデラック・ドゥビル、テールヒィンの美しい車に乗ってディープサウスツアーは当時まだ人種差別が残っており大変だったのでしょう。それらは例えばタランティーノ監督「ジャンゴ」スピルバーグ監督「アミスタッド」にももっと激しく描かれています。

フライドチキンシーン、私はペキンパー監督の「ゲッタウェイ」を思い出しました。

最後のバーミングハムのナットキングコールのエピソードには驚きました。米国まあはいい国だと思いますが、そんな出来事があったとは不勉強で知りませんでした。

この映画は、ホンとモーテンセン、マハーシャラ・アリの演技で見せる映画なので、映画ラスト、大人の寓話というかお伽話のような結末で、それが一部の黒人監督、俳優の琴線に触れたのでしょう。

でも、クリスマス・イブなのでどう考えてもこの結末しかなかったと思います。ヒチコックじゃありませんが、たかが映画なのですから。

ナットキングコールは映画にも出ています。最後の映画はジーン・フォンダ主演「キャットバルー」(1965)といい、ミュージカル仕立てのコメディ西部劇です。楽しそうに歌っている彼に過去にそんな出来事があったとは。

来年の作品賞は何でしょうか?「1917命を懸けた伝令」?「アイリッシュマン」?

楽しみですね。                             八点鍾

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