レタントンローヤル館にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「パーマーの危機脱出(ベルリンの葬送)」(1966)です。
この映画は、ハリー・パーマーシリーズ「国際諜報局」に続く第二弾、レン・デイトン原作「ベルリンの葬送」の映画化です。
あらすじは、東ベルリンから西ベルリンへの亡命が多発して、現地諜報員バルカンから責任者KGBストック大佐が西側に亡命したいと連絡が入り、ロス大佐からパーマー(マイケル・ケイン)に命令が下る。すぐにベルリンに飛んで真偽のほどを確認せよと。
パーマーはチャーリーポイントから東ベルリンに入り、ストック大佐に面談するが、どうも要領を得ない。西ベルリンに戻るとイスラエル諜報員が動き回っているのが分かる。棺を利用してストック大佐指定の亡命業者を利用して亡命させると、棺の中から現れたのは亡命業者の責任者だった。ところが身元確認用書類を現地工作員バルカンに奪われてしまう。そして、ストック大佐にも一杯食わされてしまった。
バルカンは元々強制収容所の看守で、その身元確認用書類を利用して英国現地工作員やらせていたが、いまやその書類でスイス銀行からユダヤ人の遺産を手にすることが出来る。イスラエル工作員とパーマーのどちらが早くバルカンを取り押さえることかが出来るのか・・・
この原作「ベルリンの葬送」はとても素晴らしいと思います。この時期、ジョン・ル・カレのあの「寒い国から帰ったスパイ」も上梓されています。デイトンの「ベルリンの葬送」は色々凝っており、ちょっと「寒い国から・・・」を小馬鹿にしている様なところもあり、一筋縄でいかない面白さがあります。パーマーシリーズでは、この小説が一番完成度が高いと思います。
ジェームズ・ボンドと違っていやいや諜報活動を行っているパーマーはマイケル・ケインが上手く体現しており、原作ファンの方はとても楽しめると思います(小説は一人称で書かれており、主人公の名前は表記されない)。
監督は「007 ゴールドフィガー」のガイ・ハミルトン、共演はガイ・ドールマン、エヴァ・レインズ。
又、2006年に発売された「国際諜報局」スペシャル版のマイケル・ケインインタービューでは、「10億ドルの頭脳」の次に「優雅な死に場所」を映画化したかった等発言しています。いや、実現して欲しかったと思います。 八点鍾