レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

番外編「ジョジョラビット」これはこども十字軍のお話・・・・

レタントンローヤル館にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ジョジョラビット」です。

 

中々ユニークな映画です。冒頭のシーンはロバート・ブレーク主演「グライド・イン・ブルー」(1973)からいただきでしょう。ヒトラーユーゲントのサマーキャンプの様で1943年頃かなと思っているとそうではなく1945年3月頃のようです。場所はドイツとチェコの国境辺りでしょうか?

 

西からはパットン、モントゴメリーが、東からジューコフが進撃してくるのにこんなことしていて大丈夫かいと他人事ながら心配するのですが。

主人公ジョジョは夢見る少年で、時々ヒトラー総統が現れる。心優しい少年なのでウサギを殺すこともできなく、運動神経もあまり良くなさそう。夢の総統に激励され、キャンプの責任者クレツェンドルフ大尉から手榴弾をもぎ取り、投げるのだが木に当たり跳ね返って自分の足元に来る始末。足元で爆発しジョジョはあえなく病院送り。こんな感じで物語は進みます。

ヒトラー総統は「プロデューサーズ」(2005)の「春の日のヒトラー」の総統の様で、なかなかユーモラスといっていいのか厳しい描写である。

病院を退院して、自分の部屋に戻ると、壁の様子が違うのに気付き、そこを開けてみると中にユダヤ少女がいるのを発見しするのだが・・・・

 

映画を鑑賞していて、私はこの映画とほぼ時期が重なるドレスデン空襲を描いたカート・ヴォネガット・ジュニアの小説を映画化した「スローターハウス5(屠殺場5号)」(1972)と大戦末期の日本軍の苦闘を描いた「肉弾」(1968)を思い出しました。「スローター・・・」はSF仕立てになっているので面白いのですが、「肉弾」は見ていて本当につらい映画です。

例えば、沖縄戦を舞台に鉄血勤皇隊にスライドさせてこの映画を製作したら、日本では色々言われるだろうなとか思いましたが、米国はタブーが少ないのでしょう。

 

映画はコミカルな味付けなので、ラストを除いてそんなに辛くはありません。

でも、何やっているの?早くスイスの方に逃げないと・・・と映画を見ながらずっと考えていました。例えば、宮崎駿氏の漫画「ハンスの帰還」という作品があります。避難民を連れて、Ⅳ号戦車J型で米軍占領地区まで脱出するお話ですが、これが大戦末期の普通の人の考えと思いますが、この映画は、のんびりのんびりと。中には「フューリー」(2014)に出て来たようにカセリーヌパスの激戦の生き残りでドイツ人を皆殺しにしたいと考えている人もいるでしょう。

 

とてもユニークな作品ですが、何かリアリティに欠けるなと思うのは私だけでしょうか?まあ、映画も創造の産物ですからそんなに目くじら立てても仕方ありませんが。

監督は「マイティーソー・バトルロイヤル」のタイカ・ワイテイティ。

コミカルですが、なかなか厳しい内容を持った映画なので、こんなことにならないように一つの警句で締めたいと思います。

「平和を欲するのであれば、戦争を理解しなければならない」リデル・ハート

                                  八点鍾

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