番外編「ZERO DARK THIRTY」史上最強ノンキャリ分析官の一点鍾が鳴る時…

レタントンローヤル館にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ZERO DARK THIRTY」(2012)です。

この映画は、2001,9,11に発生したアメリカ同時多発テロ事件の首謀者ウーサマ・ビン・ラーディンの追跡、暗殺を描いた映画作品である。このような作品は珍しく、その昔、フランスの過激派組織OASが腕利き殺し屋を雇い、ド・ゴール大統領暗殺を企てたフレッド・ジンネマン監督作品「ジャッカルの日」(1973)以来である。但し、この作品はフィクションである。

 

CIA分析官マヤ(ジェシカ・チャスティン)は、同時多発テロの資金調達係アマールの尋問に付き合っていた。尋問は過酷で、そのうちサウジアラビアでテロが発生する。

マヤは一案を講じることにする。アマールは尋問で気を失い、知らぬ間に仲間の情報を漏らしたので、サウジのテロを未然に防ぐことが出来たと、アマールに説明、ご馳走を用意する。アマールは、良心の呵責に耐えながら泣く泣く食べ始め、べらべらと知っていることを話し始めるのだった。その中でアブ・アフメドというビン・ラーディンの連絡係の情報を得て、この男の追跡を開始するのだった。

この導入部分とてもリアルで、ル・カレの小説「リトルドラマーガール」でも同じように拘束したゲリラを、偽の赤十字職員に面会させ、そこから仲間の情報を得て、ゲリラ組織を追跡するのとよく似ていて嬉しくなってしまいます。

 

アフメドは死亡していたという情報も入るが、実はパキスタンで生存しており、いまも連絡係をしていることが確認され、彼が出入りしている屋敷を特定し、そこにビン・ラーディンが隠れているか証拠を得ようとするが上手く行かないが、偵察衛星からの情報では判定できないが、多分ビン・ラーディンが隠れているだろうということで作戦が開始される。

 

サスペンススリラーとしてとても良く出来ており、加えてこのノンキャリ分析官マヤを演じたジェシカ・チャスティンが大変すばらしい。ワキも実力派ジェイソン・クラーク、マーク・ストロング、カイル・チャンドラー等で固められ、安心して見ていられる。又、ディテールもステルスヘリコプター、近接戦闘用機関銃、暗視スコープ等しっかりと描写され、暗殺後の情報収集も何も考えずに淡々とPCのハードディスク等を回収するシーンも興味深い。国家の威信をかけた容疑者の暗殺、色々と考えさせる映画である。

 

映画の味わいとして、その昔コスタ・ガブラス監督の政治映画「Z」「告白」「戒厳令」よりソダバーグ監督「チェ28歳の革命/38歳別れの手紙」(2008)に近いように思います。

監督はキャスリン・ビグロー、前作「ハート・ロッカー」より描写が的確で、テーマも含めて女性の監督とは思えません。

 

一点鍾とは、午前0時が鐘を八回鳴らす八点鍾、以後半時間ごとに一点鍾ずつ鳴らして、六時間で八回鳴らす八点鍾を四回繰り返して、船上の当直業務を示す海の用語です。この作品では0時30分なので一点鍾になります。 

なお、このブログ作成に際してBD版を鑑賞しています。    八点鍾

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