「1917 命をかけた伝令」サム・メンデス監督の超絶技巧映画・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「1917 命をかけた伝令」です。本来なら、ホーチミンで見たかった映画ですが、上映されませんでした。よって日本で鑑賞することになりました。

 

サム・メンデス監督の前評判の高い映画です。第一次世界大戦、西部戦線を舞台にした全編ワンカット作品、こういう映画を例えるなら超絶技巧映画というのでしょう。大変良く出来ています。

でも、前半は面白いのですが、後半は、余りのれませんでした。理由は細かいことで何かね・・・

例えば、退却した独軍陣地に辿り着いた二人、ランスとスコフィールド上等兵は陣地の中を動き回ります。鼠によって作動したブービートラップによってスコフィールドは九死に一生の目に会いますが、次のシーン、独空軍戦闘機が不時着し、操縦士を二人は助けようとします。普通、作戦行動中兵隊は捕虜を捕ることを嫌います。下された命令を遂行することが出来なくなるからです。普通であれば、何もしません。戦争ですから。ここでは助けて反対に・・・となりますよね。こういうこともあるので、普通は何もしないのです。

陣地で、ブービートラップで死にかけたのにスコフィールドは農家で牛乳を飲もうとしたり、こういうものはとても危険で、毒が入っていたり、ブービートラップが仕掛けてあると考えるのが普通なんですが。

 

狙撃兵を仕留める時も、扉を開けたらまず手榴弾でしょう。

燃え上がる廃墟でドイツ兵を見つけて口をふさぐなんてありえません。必ず、小銃の銃床でぶん殴るのが常です。

その昔、パレンバン製油所を警備していた兵舎にインドネシア人の泥棒が入り、警備の歩兵に見つかるとその歩兵は小銃の銃床で泥棒の頭を間髪入れずぶん殴り、兵舎から連れ出したと帝国陸軍の生き残りから聞いたことがあります。

最後の攻撃停止命令も、攻撃の最中に停止するような描写ですが、こういうのもあり得ません。戦場の場合、退却戦が一番難しく、下手をすれば逆襲に会って全滅する恐れがあるからです。ですから、例えば、ナポレオンのロシア遠征撤収作戦では、しんがりを一番戦に慣れたネイ将軍をあてがいました。

 

多分、メンデス監督はこういうことはご存知だったと思いますが、今からほぼ百年前の出来事を忠実に再現してもいかがなものか考えて作品を作ったものと思います。だから、映画の後半は、ディズニーランドのバトルフィールドツアーのような感じと言ったら怒られますかね?

全体的に映画から国家総力戦という空気、例えば少し前紹介しました岡本監督「沖縄決戦」、岡本監督は戦争を実際に経験しているので、画面にそういう空気が漂っている感じがします。実際に経験した人達が鬼門に入っている現在では、それはもう難しい注文かもしれません。

個人的には、少し前の映画ですがスピルバーグ監督「戦火の馬」ジュネ監督「ロングエンゲージメント」を買いますが、もっと好きなのはハワード・ホークス監督「ヨーク軍曹」かな。

とは言っても、全編ワンカットという実験映画とみれば素晴らしい出来栄えで、この方法は別の使い方があるかもしれません。加えて、美術班が作り上げた戦場シーンは特筆ものだと思います。

 

1917年は、第一次世界大戦のターニングポイントで、間もなくロシアは革命で戦線離脱、独軍は東部戦線から部隊を移動させて、西部戦線に張り付け大攻勢を計画し、英国が負けると貸していた金が返却されないと米国が参戦を決めた時期でもあります。

日本は、日英同盟により帝国海軍が地中海で連合国輸送船護衛を務めていました。

本来であれば、帝国陸軍をせめて二個師団ぐらい送っておれば、戦後日英同盟破棄ということにはならなかったと思います。そういう意味では、この映画は考えさせてくれる映画です。

 

では、メンデス監督のさらなる活躍を、この全編ワンカットの技術を極めて頂くことを祈りつつ終わりたいと思います。             八点鍾

 

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IMDb

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美術班が製作したマーク1戦車 素晴らしい

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ゲーリー・クーパー主演 ヨーク軍曹