レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「愛を弾く女」(1992)です。クロード・ソーテ監督作品です。寡作の映画監督なのであまりご存知ないかもしれません。
日本では、「墓場なき野郎ども」「すぎ去りし日・・・」「夕なぎ」ぐらいしか公開されていませんが、本国フランスでもあまり多くありません。加えて、彼のミューズ、ロミー・シュナイダーが亡くなったこともあり「ギャルソン」「僕と一緒に幾日か」を製作し、そしてこの作品となります。
個人的には、ノワール作品も好きですが、この様な静かなフランス映画が好きです。ほかの作品では、ジャンーポール・ラプノー監督「うず潮」「プロヴァンスの恋(屋根の上の軽騎兵)」なんかとても好きです。
この作品は、新鋭ヴィオリニスト、カミーユ(エマニュエル・べアール)、楽器工房経営者マキシム(アンドレ・デュソリエ)とその工房で働く調律職人ステファン(ダニエル・オートゥイユ)のちょっと変わった三角関係のラブロマンス。ラヴェルの室内楽を伴奏にシックで芳醇な品の好い映画になっています。
べアールは神がかっているほど美しく、オートゥイユはまるでストイックの塊の如く(冬の心:この映画の原題)確かに、ほんの一部だと思いますが、自分の殻に閉じこもるこのような男性も存在していると思います。
私から見るとカミーユは自己本位過ぎる感じです。でも、男なら誰もが彼女を許すでしょう。それぐらい異性から見ると美しい。それに比して、マキシムは常人で、見ていて面白くありませんが、役の上から言っても仕方がないことでしょう。
ラストは、悲恋に終わりますがその余韻を楽しむことが出来ます。フランス映画らしい奥行きのある作りになっています。
ブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鍾