レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「パリは霧にぬれて」(1971)です。
「雨の訪問者」に続くサスペンススリラーです。前作より、ムードを重視した作りになっています。
映画は、サン・マルタン運河のシーンから始まります。ジル(フェイ・ダナウェイ)は男の子パトリックを連れて、艀に乗っていますが何やら気怠そう、男の子ははしゃぎ回っています。艀を降りると、カフェに行き、夫に連絡します。アパートには夫フイリップ(フランク・ランジェラ)と長女が夕食の支度をしています。電話を取るとフィリップは2CVで迎えに行きます。長女は母の様子が良くないことを思い涙目になって・・・
最近、ジルの周りはおかしなことが事が多発してして、何かなんだかわからないことばかり。傘を失くしたり、医者との面談日を間違えたり、同じ服を買ったり、ある時夫からどうして会社の上司に電話するんだと、その電話の内容が生活が大変なので昇給してくれなければ会社を辞めるとか。でも一番ひどいのは、交通事故を起こして、2CVを全損させたこと。もう少しで、長女が焼死するところだった・・・
虚ろな、記憶障害のジルは何が何だかわからない日々、唯一の気休めは、パトリックと戯れる事と隣人シンシア(バーバラ・パーキンス)とのお喋り。
ある時、デパートで二人の姉弟を見失ってしまい、警察に届けるのだが、警察はジルの様子を見て、発作的に子供達を水死させ、自分も自殺しようとしたのではと疑惑の目で見始めるのだが・・・
映画全体がソフトフォーカスで撮影されており、子供たちがとても自然な演技で、当時大変話題になりました。冒頭の運河でのクルーズシーンもとても詩的にとらえられていて、とてもいいムードになっています。サスペンス映画として見るとすこし物足りませんが、米国製暴力サスペンス映画より大人の雰囲気で好ましいと思います。ムードのある音楽はジルベール・ベコー作曲。
ブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鍾