レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「ONCE ダブリンの街角で」低予算、短期間という条件で制作されたラブロマンスの佳品・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ONCE ダブリンの街角で」(2007)です。

 

スケッチ風に撮られた作品ですが、丁寧に作られた佳品です。DVDについていたメイキングでは、製作予算12万ユーロ、撮影日数17日、隠し撮りで警官が来るときはカメラを隠して撮影していたとか。

 

映画は、ダブリンのストリートでタカミネのギターで弾き語りをしている男(グレン・ハンサード)と男の音楽に惹かれてきたチェコ移民の女性(マルケタ・イルグロヴァ)のボーイ・ミーツ・ガールです。

冒頭、ギターケースに入ったお金を盗まれ、犯人を追い駆けるシーンから中々笑わせてくれます。彼の持っているタカミネのギターはピックガードがなく、そこが擦れて大きな穴が開いているという代物、男の家が掃除機修理屋と知ると彼女は掃除機を持ってきて、掃除機をゴロゴロと引っ張ってくる、何とも言えない面白さ。

チェコ女性もピアノを弾くので、二人で一緒に弾き始める辺り、又、男の親父のバイクで一緒に海辺に出掛ける辺り、ロンドンに行くためにデモテープを作るためにレコーディングする辺り、奇跡が起きたようにというより、偶然の気まぐれというより、神の見えざる手が働いたかのように、本当に素晴らしく撮影、編集されて、とても素晴らしい作品になっています。

 

アイルランド映画と言うと、ニール・ジョーダンとかジム・シェリダンの映画を思い出しますが、こういう映画もあるのですね。監督はジョン・カーニー、この映画で使用された「Falling Slowly」は2007年度アカデミー歌曲賞受賞しています。

低予算で映画を撮りたい方は、この作品は色々な意味で参考になるのではと思います。

 

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。          八点鍾

 

追記 DVDについていたメイキングでは、東京映画祭にもこの両名は出席されて、ミニコンサートを披露しています。勿論、あのギターで。ところが、タカミネの社長が現れて新しいギターをプレゼントしています。とてもとても微笑ましいシーンでした。

 

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