「家族の肖像」ヴィスコンティ監督、晩年の傑作。でも、この映画は色々な事を示唆してくれる・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「家族の肖像」(1974)です。

 

この作品は、どちらかと言えば、演劇的で彼の作品群の中では小品と言っても良いでしょう。全編セット撮影でカメラはセットから出ることはありません。ベランダから見えるローマの建物もセットです。

 

バート・ランカスター扮する教授が、蔵書と若干の彫刻、家族の肖像画と呼ばれる絵画に囲まれて壮大な年代物のアパルトマンに生活している。教授は、偏狭だが趣味の良い常識人。そこに、階上の部屋を貸して欲しいとビアンカと言う女性が彼の生活に侵入し、生活が少しづつ狂い始めるという物語である。

 

若い人には面白くない話かもしれないが、ある程度齢を重ねるとこれが結構面白い。その昔、この映画を劇場で鑑賞した時、はっきり言って辛かった。とても上質な映画だというのは理解できるが、面白くなかった。今回、鑑賞すると大変面白かったし、その趣味の良さに改めて感心した。

例えば、教授の書斎。素晴らしいセット、それらが黒光りしているほどすべての物が存在感を示している。ぞんざいに本が積み上げられて、好きな家族の肖像画に囲まれて生活していることがどんなに素晴らしいか画面から染み出してくるのが判る。

 

こういう趣味の良い映画を見ていると、あの映画に出て来た部屋、例えば「或る貴婦人の肖像」に出て来たこれもまた趣味の良い部屋、「エイリアン・コヴェナント」の冒頭に出て来た広大な白い部屋、「探偵/スルース」に出て来たミステリー作家の人形一杯の部屋、「ブレードランナー」のデッカードのクールな部屋、「時計仕掛けのオレンジ」での作家のシンプルな部屋等と比較したくなる。でも、この映画が勝利するように思う。

 

又、この映画を見ていると、自分もこういう風に好きな物に囲まれて生活してみたいと考えてしまう。それぐらいこの映画の美術は迫力があり素晴らしい。そう思わせる映画はこの映画ぐらいだ、今まで何十年と色々な映画を見ているが。

 

時々、パーペチャルトラベラーとして海外を転々と移動して生活してみたいと思う時がある。但し、税金の安く治安の良い国に生活基盤を置いて、ちょっと田舎の処のアパートを借りて、好きな映画とミステリー本に囲まれて、キース・ジャレット、ビリー・ホリディーの音楽を聞きながら過ごしてみたいと・・・

そういう隠れた欲望をメラメラと燃え上がらせるだけの魅力はある。

 

ホント、個人的なこの映画の感想を言えば、右翼も左翼も、世代間の憎しみなんか関係ない。私はこの世俗の中の一番良い物を愛して人生をまっとうして逝きたいと思わせることだ。

 

やはり、ルキノ・ビィスコンティ監督は本当に素晴らしいと思います。 八点鍾

 

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或る貴婦人の肖像より

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エイリアン コヴェナントより

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探偵/スルースより

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ブレードランナーより

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時計じかけのオレンジより