レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「裏切りの暗闇で眠れ」(2007)です。
原題Truands、ギャングと言う意味なので期待しましたが、私達が想像している様な映画ではありませんでした。監督は「スパイ・バウンド」のフレデリック・シェンデルフェールです。内容は実録ギャング物と言う感じです。
冒頭、無機質なメロディーが流れる中、コールガールと偽札犯がタクシーに乗り込むが、途中フランク(ブノワ・マジメル)が乗り込んで来て、偽札を奪うと情け容赦なく二人とも撃ち殺す。どちらかと言えば、描写がどぎつく、生々しい。目を覆いたくなる感じ。フランクとジャン=ギィはフリーランスの殺し屋で非情。考える前にトリガーを弾くというタイプ。今はクロードをボスとする暴力組織にわらじを脱いでいる。
クロードはスイス人から依頼でヤクの取引を行うが、嵌められそうになるが反対に返り討ちにして組織内の裏切り者を始末する。逃げたスイス人をフランク達が始末する。
こんな感じで、殺しシーンのオンパレード。やがてチクられてフランス警察特殊チームに逮捕され、懲役3年を食らう。
ボス、クロードがいない間にナンバー2リッキーを始末して、この組織を乗っ取っろうするシャラム達の誘いを受け、フランク達は仮出所で出て来たクロードを妻(ベアトリス・ダル)の前で射殺する。
が、イシャム達はフランクを抹殺すべく彼のアパートに向かうが、彼は一人でセネガルに高飛びする。ダカールで目覚めたフランクは、空に舞う猛禽の群れを見つけるのだが・・・
この映画のキャッチコピー、甘さなし、容赦なし、激辛ハードノワールがしっくりする実録物になっています。テンポよく、迫力はあり、音楽の使い方、例えばラスト、エンドロールに流れるマリアンヌ・フェイスフルの歌などとてもしっくりきますが、ペキンパーを超えるこのドロドロさ、この映画の殺しのシーンは陰湿、非情。ペキンパー映画のあのスローモーションが詩的な風情のような味わいだと思いなおす次第です。
個人的には、「スパイ・バウンド」よりこちらを買いますが、何度も見たい映画ではありません。ブノワ・マジメルは寡黙でとても良い感じ。多分、彼は、追手が来る前にパリに戻り、イシャム達と対決するでしょう。でも、それは別の監督でお願いしたいと思います。
シェンデルフェール監督は私達が考えているようなところではなく、別なところに行きたいと考えているのでしょう。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鍾