レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「国際諜報局(IPCRESS FILE)」洗脳をテーマにしたエスピオナージスリラーの傑作ですが・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「国際諜報局(IPCRESS FILE)」(1965)です。もはやエスピオナージスリラーの古典と言って良い作品です。原作はレン・デイトンの「イプクレスファイル」、監督はシドニー・J・フューリーです。

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"IPCRESS"とは、Induction of Psychoneuroses by Conditioned Reflex under Stressのことで、訳するとストレス下の条件付き反射による精神神経症の誘発という意味です。これは洗脳を意味しており、ジョン・フランケンハイマー「影なき狙撃者」(1962)と同様の珍しいテーマを扱った映画です。

 

ロンドン、英国でトップクラスの科学者が誘拐され、警護官が射殺された。防諜局ロス大佐(ガイ・ドールマン)はパーマ軍曹(マイケル・ケイン)を担当局ドルビー少佐の処に出向させる。科学者を取り戻すべく、営利誘拐組織暗号名「ブルージェイ」と接触し始める。警察から情報を得て、誘拐組織のアジトに踏み込むと敵は既に脱出しており、そこには"IPCRESS"と名付けられたテープが残っているだけだった。

組織と接触し科学者を買い戻すが、彼は洗脳を受けて使い物にならなく、疑惑の目がパーマに向けられる。パーマは身を隠そうとするが、敵の組織に拉致され、収容所に監禁され、IPCRESS処置を受けるのだが、洗脳されずに辛くも脱出、防諜局内部に裏切り者にいる裏切り者をいぶりだすためにある計画を実施するのだが・・・

 

デイトンの原作とアウトラインは一緒ですが、細かい処ではかなり相違点がありますが見ごたえのあるエスピオナージスリラーになっています。ほぼ全編ロケ撮影、フェーリー監督の赤を配した独特の構図、ジョン・バリーのクールジャズ、マイケル・ケインのヤル気のないというか、ふて腐れたような表情等が絡み合って、J・ボンド、ヒチコック作品とは違ったスパイ映画が誕生したと思います。

 

冒頭、パーマがフレンチプレス方式でコーヒーを入れるところからユニークな味が出ています。ボンド作品程アクションがないので、シリーズものとしてはこの作品を含めて「パーマの危機脱出」「10億ドルの頭脳」3作しかありません。マイケル・ケインもこの作品に主演してようやく俳優としてやっていく自信がついたと発言しています。

 

フューリー監督はハリウッドに招かれ、「シュラマドレの決闘」「裸のランナー」「お前と俺」等色々と撮りましたが、この作品を超える作品はなかったと思います。

 

原作者デイトンは、「戦闘機」「電撃戦」のようなノンフィクション物とサスペンス物を書き続け「ベルリンゲーム」から「最後のスパイ 慈愛」番外編「ヴィンター家の兄弟」を含む世界最長のスパイ小説を書き上げていますが、最近は殆ど執筆していないようです。興味のある方はぜひ挑戦してみてください。面白いスパイ小説です。

 

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。     八点鍾

 

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左がレン・デイトン

www.youtube.com