レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」猛獣使いと呼ばれたソ連戦車兵の活躍とは・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」(2018)です。

 

映画は、1941年、独ソ戦。モスクワより35キロ手前の農村での3号戦車とT-34戦車の戦車戦から始まります。この辺りの描写もなかなかリアルで零距離射撃が良く出てきます。こういうシーンも始めて見ます。
ソ連戦車兵は捕虜となり、収容所に収容されます。1944年、機甲部隊の練度向上の為、捕虜の中から敵戦車兵を集め、豹戦車と対戦車戦訓練をさせようと。
戦車兵イヴァシュキン(アレキサンドル・ペトロフ)らが集められ、戦場で捕獲した新型T-34の整備を始める。ここの描写が良く、加えて戦車内にあった徹甲弾4発と榴弾2発を戦車で死亡したソ連戦車兵に隠すところが効いてくる。イヴァシュキンはこの対戦車戦訓練を利用してチェコに逃げようとするのだが・・・

 

戦争映画ですが、珍しいタイプの戦争映画です。戦車が舞台ですが、ハリウッド製戦争映画とはかなり違います。それは戦車の性能による違いのように思います。「フューリー」(2014)と言う戦車映画がありました。独軍戦車に比較して装甲が薄いので、戦車戦そのものが余り成り立たない映画でした。

 

対してこの映画は、豹戦車とT-34戦車と何れも装甲が厚く、真横からとか後ろから直撃を食らわない限り、生存率が高く、勿論被弾すれば戦車クルーは脳震盪等起き、早く回復した方が勝利を収めることになりますが、その辺りの描写を鑑賞したのは初めての経験だと思います。徹甲弾と榴弾の使い分け、暗視装置付き豹戦車  又、遅延信管を使用して敵戦車を仕留めるシーンなど中々新鮮な描写が多く、目を見張るものがあります。

 

宮崎駿氏の漫画を出して恐縮しますが、例えば「ハンスの帰還」「泥の中の虎」、連合軍戦車150両撃破したドイツ国防軍中尉オットー・カリウス氏の戦記そのままの描写で大変興味深い映画です。カリウス氏の戦記は中々面白く、興味のある方は読んでください。戦闘で活躍される方は戦死される方が多いのですが、彼は非常に珍しく生還しています。僚車と共に互いに援護しながら戦闘していたことが生還に結び付いたと思います。この辺り、戦闘とは別に何かと参考になると思いますが。

 

直協機Fi156もチラリと登場しますし、ドイツ機甲部隊の話なので、あの「パンツァーリート」も歌われます。好きな人にはたまらない映画になっています。そうじゃない人には戦車オタクの好戦映画と分類するでしょうが、私は、この監督が求めているのは、ただいい映画を作りたいだけだと思いますが。監督はアレクセイ・シドロフ。今後の作品が楽しみです。

 

もう一つ、映画のテンポがハリウッド映画並みに早く、ラストも妙に暗くないものも良いと思います。紅一点アーニャ(イリーナ・スタルフェンバウム)も良いアクセントになっています。

 

 

ブログ作成にBD版を鑑賞しています。         八点鍾

 

追記 この作品はかって「鬼戦車T-34」という映画のエピソードを参考にしているとのことです。この映画は双葉十三郎先生の評論「僕の採点表」でかなり高く評価されていることを追記しておきます。

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