レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ドッグソルジャー」(1978)です。
以前「熱い賭け」でご紹介した、怒れる若者たち、フリーシネマ派カレル・ライス監督のフィルムノワールです。映画の完成度から言えば「熱い賭け」ですが、個人的にはこちらの方が何倍も好きです。何故ですかって、そりゃ、ニック・ノルティが物凄くチャーミングだからです。又、CCRの「Who'll Stop The Rain」が効果的に使われています。
映画は、ベトナム戦争末期。サイゴンに駐在しているベトナム特派員コンバースは、戦争の現実から精神を病み、ヘロイン2キロを密輸しよう考える。元海兵で今は軍属で米輸送船で働いている友人レイ(ニック・ノルティ)にサンフランシスコの自宅までの移送を頼む。
最初は嫌がったレイだが、引き受ける。輸送船上でクンフーの練習をするシーンがとても良く、これから先に待ち受ける危険を予知しているようである。
ジョン宅で妻マージ(チューズディ・ウェルド)にブツを渡すが、組織のメンバーが現れ、レイとマージはブツを持って逃避行に、コンバースは帰国すると組織のボス、アンテール(アンソニー・ザーブ)に拘束され、拷問を受ける。
レイ達は、山の中のヒッピーコミューンに逃げるが、アンテールの仲間に見つかり、アンテールはコンバースを連れて、ブツと交換したいと言ってくるのだが・・・
少し前に紹介したスコット監督「悪の法則」とよく似たプロットです。主人公がほんのちょっとした判断ミスをしたことが運命が更にさらに悪い方に動いていく。
アンテールの組織は、警官崩れ組織だからまだ救いがありますが、"カウンセラー"に出て来た麻薬カルテルは、ファレルに拠点を構えた武装組織なので手が付けられません。
夫コンバースを助けるため、ブツを持ってアンテールのもとに向かうマージを見て、レイはグレネードをガムテームで縛り付け、M16ライフルを持って救出に行く。もう男気溢れるニック・ノルティに男惚れします。
当時、第一次ベトナム戦争映画ブームの「ディアハンター」「帰郷」「地獄の黙示録」に比してこの作品とか「ローリングサンダー」等はひっそりと公開され、地味な扱いでした。
今回、この作品(DVD版)を再見していぶし銀のように光り輝いているのを確認しました。近いうちに「ローリングサンダー」もご紹介したいと思います。 八点鍾