レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「シチリアーノ 裏切りの美学」マカロニ・ノワールですが、やはりコーザ・ノストラ実録映画です・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「シチリアーノ 裏切りの美学」(2019)です。

 

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IMDb

マフィア映画ですが、監督があの「肉体の悪魔」のマルコ・ベロッキオなので、あまり期待しませんでしたが、この映画はなんと形容したらいいのでしょう、素晴らしい作品です。力作です、問題作です、こういうタイプの作品はそうめったに現れません。

 

この種の映画が好きな人は鑑賞した方が良いと思います。この映画を見れば、その傑作「ゴッドファーザー」「ゴッドファーザーパートⅡ」が本当に良く出来たメロドラマに見えることでしょう。やはり、本場の味わいは深いと思います。

但し、「ノーカントリ」「トラフィック」「ボーダーライン」等を鑑賞した後に感じる絶望的な現実を突きつけられ、暫く打ちのめされることは間違いありません。

 

映画は、1980年シシリー島パレルモにマフィアのメンバーが集まり、何やら会合を行うが上手くいかず、仲裁役のトンマーゾ・ブシェッタはブラジルに行く。

映画が始まると、いきなり色々な面々が出てきて、名前が映し出されるが、顔と名前が一致しなくて、加えてあまり好きではない法廷映画の一種のような感じして・・・

 

でも、ブシェッタはブラジルでのんびりと過ごしていたが、シシリーに残してきた息子たちが一人また一人とやられて、シシリーに戻ろうとするとブラジル武装警官隊に拘束され、物凄い拷問。そしてイタリアに強制送還、そしてファルコーネ判事に今まで行った驚愕するような事実を話始めるのだが・・・

 

そう、少し前であれば、「シシリーの黒い霧」「コーザ・ノストラ」フランチェスコ・ロージ又は「悪い奴ほど手が白い」エリオ・ペトリ監督辺りが監督したことでしょう。ぴったしの題材です。でも、ご両人とも天国に召されているので、ベロッキオ監督がということだと思います。

 

「ゴッドファーザー」では、マフィアはイタリア移民の互助組織という位置づけですが、この作品を見ていると、ここに描かれている犯罪組織、コーザ・ノストラはシシリーの互助組織なんかではなく正確に伝えることは出来ませんが、文化、伝統と考えた方が良いと思います。

だから、この犯罪組織を壊滅することは無理だろうと。映画後半、ファルコーネ判事が自動車爆弾で爆死すると、シシリー人の喜ぶ様が尋常でないのに驚きました。

 

そして、シシリー島には独特の方言があり、そこに暮らした人でないと理解できない。裁判中に、被告が興奮するとシシリー方言で発言し、標準語で話してくださいと裁判長がたしなめるシーンがあります。これにも驚きました。この映画では驚くことが一杯です。

 

日本人が理解できないとてつもない世界がシシリー島にはあります。そこで生活しないと理解できないと思います。

 

特に、ブシェッタがある男を殺そうとするが、相手は察していつも自分の子供と一緒にいるので殺害できないが、その子供が成人、結婚して父親から離れたとたん、ブシェッタが現れ殺害するエピソードがこのコーザ・ノストラの組織の性格を表していますし、映画でもとても印象的に使用されています。         八点鍾

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全てはここから始まった

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