レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「マーフイの戦い」(1971)です。
監督があの「ブリット」のピーター・イェーツで、ピーター・オトゥール主演なのでちょっと変わった戦争映画です。簡単に言えば、この作品、あの「アフリカの女王」リブート作品といっても良いと思います。
「アフリカの女王」では、第一次大戦のアフリカで、ハンフリー・ボガートとキャサリン・ヘップバーンの二人が、アフリカの女王という小型蒸気船に自作魚雷を取り付けて、ドイツ砲艦ルイーゼ王妃を撃沈する映画です。
この作品も、第二次大戦末期、南米オリノコ川でUボートに撃沈された英商船マウント・カイル号の生き残り、マーフィが壊れた水上機グラマンJ2ダックを修理し、手製の世界最大のモロトフカクテル(火炎瓶)を搭載し、そのUボートを撃沈しようとするストーリです。
前述したように監督がピーター・イェーツなので、J2ダックを離水シーンが大変迫力あり、又ピーター・オトゥールが主演なので軍人なのか軍属なのか良く判らなく、又いつもののらりくらりとした演技で、私は嫌いじゃありませんが・・・
でも、この映画で一番好きなのは、水上機グラマンJ2ダックの修理シーンです。SPレコードの音楽をバックに古い旋盤で部品を作り、布張り機体なので、裂けたところに厚めの布を当て縫い付ける。石油会社の留守番従業員ルイ(フィリップ・ノワレ)と冗談言いながら淡々と。
世界最大のモロトフカクテルを搭載して、離水シーンを見送るヘイドン女医(シアン・フィリップス:当時オトゥールの実際の妻)はこう思ったに違いありません。
「ほんと男って馬鹿。馬鹿につける薬はないというけど、その通りね」
マーフィはモロトフカクテルをUボートに落として命中させるが、撃沈は出来なくJ2ダックは破損してしまう。すると、今度はルイのクレーン船を操船してUボートにぶつけ、沈没させようと。
もう、執念の鬼と化して。戦争は終わったのに・・・
「俺の戦争は終わっていない、水の中で眠っている仲間に申し訳ない」と呟きながら・・・
大変良く出来た映画です。良いシーンが多いので、個人的にはあの「ブリット」より愛着があります。最後にUボートは米パラオ級潜水艦ですが、ⅦC型に見えるように若干改造されています。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鍾