レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「帝都物語」(1988)です。
時は、1985年9月22日米国の対日赤字減少の為、円安誘導の協調介入を行うことが合意された。これがプラザ合意で、1$245円だったものが1日で20円高くなり、1年後には1$150円程度迄円高に誘導された。これからほぼ5年程日本は好景気に沸く。一部の会社は、これからは映像コンテンツの商売になるとハリウッドの映画会社を買収したり、映画作品に資本算入した。
こんな時、企画、製作されたのがこの作品「帝都物語」だった。博覧強記 荒俣宏の同名小説を「ウルトラ」シリーズで有名な実相寺昭雄監督が映画化したのです。
平将門の怨霊を利用して帝都破壊を目論む魔人 加藤保憲(嶋田久作)と戦う辰宮洋一郎(石田純一)とその妻辰宮恵子(原田美枝子)、幸田露伴、鳴滝順一ら活躍を描く。
阿保臭いと言ってしまえばそれまでですが、こういうB級プログラムピクチャー的なお話を映画化するところが私は好きです。
現在の目で見ると、CGが無い分だけアナログSFXで補うわけだから、まるでB級作品のようだが、そこは実相寺監督の構図と色彩に凝った演出スタイルで随所随所になかなか輝くショットで補っている。
例えば、満月の夜、大蔵省での辰宮洋一郎と妻恵子のラブシーンなど、画面一杯に満月を持って来て、物凄く幻想的なシーンを作り出している。とても上手いと思います。
この作品の一番の問題は、最後の魔人加藤と恵子の戦いがあまり盛り上がらないことだと思います。でも、この映画の中では、原田美枝子が一番輝いていますが。
でも、当時としては破格の費用で例えば、銀座四丁目のオープンセット等製作し、撮影されとても効果をあげている。コンセプュアルデザイナーとしてあの「エイリアン」のH・R・ギガーを起用したりして、なかなか見所ある作品なんですが。
花火大会で沸く帝都を見ながら、澁澤栄一翁と幸田露伴の会話で終わるのも中々余韻があり、加藤復活を暗示させる神田明神の桜が舞うシーンをエンドクレジットにするの実相寺監督の粋と言って良いでしょう。
ああ、プラザ合意のその後でしたね、そうでした。多くの企業が映画、映画会社に資本参加、買収したりしましたが、現在も地道に行っているのは、コロンビアを買収したソニーだけだと思います。この商売、ユダヤ人が牛耳っているのでとてもとても・・・
難しい業界だと思います。
このDVDを鑑賞しながら、前述のことを思い出しました。すべては宴のあと。
八点鍾