レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「サムライ」(1967)です。
この作品は、フィルムノワールとしてはもはや伝説的な作品です。この作品、以前に殺し屋の行動をこの様なスタイルで描いた作品はなかったように思います。又、この作品以後、殺し屋、フイルムノワール映画で、この作品の影響受けない作品はないと思う程です。
少しばかり哲学的、スタイリッシュな演出で、色彩を押し殺して、渋い渋い殺し屋の部屋、セリフは最小限にして、可能な限り見せる映画に仕上げてあります。独特なカメラワークで、冒頭から監督自身が作り上げたという武士道のフレーズ、この映画も最初から最後まで監督の思想、主張で画面一杯に塗りこめられた映画と言っても良いでしょう。
又、主演アラン・ドロンもこれまでと違った演技で、映画そのものに独特の味わいを与えています。但し、作品そのものが古いので、現代の目から見れば、古臭いところもありますが、何時見ても刮目させられることは間違いありません。
監督は、フランス暗黒映画の雄、J・P・メルヴィル。このブログでは、以前「海の沈黙」とか彼の「ギャング」と言う作品をアラン・コルノー監督がリブートした「マルセイユの落とし前」をご紹介したと思います。
ストーリーは、殺し屋ジェフ(アラン・ドロン)はあるナイトクラブのオーナーを殺すために、ジャーヌ(ナタリー・ドロン)にアリバイを依頼し、オーナーを射殺するが、部屋から出たところをピアニスト、ヴァレリーに見られてしまう。警察で面通しを会うが、ヴァレリーは殺し屋はジェフではないという。
が主任警部(フランソワ・ペリエ)はジェフをマークする。ジェフは殺しの報酬を受け取ろうとするが、相手はジェフを殺そうとするのだが・・・
このメルヴィル監督の得意のテーマ、定められた運命に向かって進む男達の悲劇を描いて、「いぬ」「ギャング」この「サムライ」、レジスタンス物の「影の軍隊」そして「仁義」まで素晴らしいと思います。
特に、彼の場合、暗黒物(ミリュー)を題材にしていますが、すべて人はどう生きるべきなのか、どう行動すべきなのか体現している映画だと私は思っており、時々、鑑賞することで更にその感を感じ入る次第です。本当に素晴らしいと思います。
このブログ作成に、BD版を鑑賞しています。 八点鍾