レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「スパイの妻」黒沢清監督の新作サスペンススリラーですが・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「スパイの妻」(2020)です。

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ベテラン黒沢清監督作品、サスペンススリラーです。良く出来たサスペンススリラーです。

 

映画は、昭和15年、神戸。福原物産の福原社長(高橋一生)が満州へ所用で出かけた後、ある国家機密(細菌戦を想定した人体実験記録)を入手し、それを米国に持ち込み発表するため、妻聡子(蒼井優)と準備する。憲兵隊をかわす為、福原は先に米国に出発、聡子は別の船で出発するのだが、憲兵隊に拘束されて私はデコイ(囮)されたのではと・・・

 

このブログを書くために、Wiki等でこの作品について調べて、この映画がテレビドラマの再編集版だと知りました。

だから、映画最後のテロップがとても曖昧です。これではない方が良いのではと思います。実際、彼女が米国に渡って何をしに行くのか・・・

 

映画のシーンを見る限りでは、福原はコミンテルンにリクルートされた人物で、例えば、私は世界人だというシーンがありますし、聡子をデコイにして米国に向かうシーンではニコリと微笑んでいますし・・・

 

騙された聡子が、もう一度福原との愛を確かめるようなものではないでしょう。あくまでも邪推ですが、スメドレー女史に決着を付けに行くようなものではないかと。そういう経緯があって、テレビドラマ版のエンディングを迎えるのではないかと。

 

映画は、山中貞雄監督作品「河内山宗俊」がチラリと出て来て、黒澤監督の趣味が良く判ります。この作品では8Kカメラで撮影されていると聞きましたが、映画版を見る限りでは、特に記すことはありません。             八点鍾

 

追記 

スメドレー女史 上海にいた対日コミンテルンの工作員。ゾルゲと親交があった。ゾルゲに朝日新聞記者尾崎秀美を紹介していた。1950年、下院非米活動委員会から召還が発せられていたが、その日に渡英して、その晩急死している。Wikiより

 

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