レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「おかしなおかしな大追跡 (What's up, Doc?)」(1972)です。
監督があの「殺人者はライフルを持っている!」「ラストショー」で名を上げたピーター・ボクダノヴィッチ。当時、フォード・コッポラ、ウィリアム・フリードキンと共に若手の実力派の一人でした。が、プレイメイトのドロシー・ストラットンに絡むスキャンダルで作品の質が落ち始めて、往年の名声今いずこというより三人の中で、一番早く萎んでしまい残念です。
この作品は、私は未見ですがハワード・ホークス監督「赤ちゃん教育 Bring Up Baby (1938)」を上手くアレンジしたスクリューボールコメディです。結構、笑わせてくれます。
お話は、サンフランシスコに四人の男女がやって来る。一人は政府の機密文書を、宝石を持って旅をしている夫人、石器時代の音楽を学会で認めてもらおうと石を入れているハワード(ライアン・オニール)、そして百科辞典を入れて放浪の旅をしているジュディ(バーブラ・ストライサンド)。
この四人が同じホテルに宿泊して、カバンを取り違え、ジュディが色々と掻きまわすことで物語は、あらぬ方向に進み大騒動、大追跡になるのだが・・・
そのラストのあのセリフ "つまらないセリフだ" も決まったクールなコメディ映画です。
その昔、劇場で鑑賞した時は面白かったという記憶はありませんでした。私、バーブラ・ストライサンドが苦手で、そりゃ、歌は上手いのですが、あのお鼻が・・・
で、今回再見したら、彼女が歌う、タイトルロールに流れるコール・ポーターの「貴方が最高」からご機嫌で、加えて彼女のあのお鼻が気にならなくて、まるでバッグスバニーの兎チャンのようで、素晴らしいの一言・・・
ボグダノビッチ監督は、このコメディ路線で進むべきだったのでしょう。シリアスはともかく、ミュージカル路線はあまり成功しなかった・・・
ホント、もう少しと言わず、もっともっと活躍して欲しかったと思います。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鍾
追記
このボグダノビッチ監督は、あのジョン・フォード監督の研究者でもあります。ジョン・フォード監督を研究するのであれば、ボグダノビッチ監督の著作又はリンゼイ・アンダーソン監督の著作を読んでください。「もしも・・」「孤独の報酬」「オー!ラッキーマン」のリンゼイ・アンダーソン監督も負けず劣らぬジョン・フォード監督の研究者です。