レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ライト・スタッフ」(1983)です。
「ミネソタ大強盗団」「SF/ボディ・スナッチャー」で名を上げたフィリップ・カウフマンの傑作航空映画です。
もう、この映画何も言うことありません。冒頭、ベルX-1で音速突破に失敗し、そのパイロットを弔う荒野の葬式シーンは、ジョン・フォードの西部劇を彷彿し、宙を舞うT-33練習機がミッシングマン・インフォメーション飛行を行うのが泣かせます。しかし、孤高のパイロット、チャック・イェーガー(サム・シェパード)が1947年10月14日、人類史上初、有人音速突破に成功します。
相棒リドリー大尉に「ガムを一枚くれないか、後で必ず返すから」と軽口叩くのも笑わせます。
覇権国米国は、航空界では世界一になったと考えていたが、宿敵ソ連は宇宙開発に力を入れていた。やがて、ソ連はスプートニク1号という人工衛星を打ち上げに成功し、米国は愕然とする。この辺りの描写も笑えます。
米国はマーキュリ計画を立ち上げ、ソ連に対して後塵を拝することになるが、宇宙飛行士(アストロノーツ)の募集を始める。イェーガーは十分その素質はあったのだが、大卒でなかった為、不適格となる。
当初は、ロケットの失敗、技術陣と宇宙飛行士との確執(宇宙船はカプセルだから窓はいらない、俺達はパイロットだから窓は必要だ)等あったが、ガガーリンが有人宇宙飛行を行うと直ぐに米国もグレン(エド・ハリス)が有人宇宙飛行をやり遂げる。
マーキュリーセブンと呼ばれた宇宙飛行士たちがヒューストンでジョンソン副大統領主催の歓迎パーティを受けている時、イェーガーはNF-104に乗り込んで、高高度達成に挑むのだった。
勿論、相棒リドリーに「ガムを一枚くれないか、後で必ず返すから」と言い残して。機は、蒼空に消えていった・・・
映画はガッチリと描かれており、飛行機ファンにはたまらない一編になっています。特に、孤高の伝説パイロット、チャック・イェーガーを演じたサム・シェパードは素晴らしいと思います。
所謂、大スターは出ていませんが、準主役クラス(フレッド・ウォード、スコット・グレン等)、個性派の演技者(ランス・ヘンリクセン、スコット・ウイルソン等)がいい味出しているので楽しめること間違いありません。
カウフマン監督、「ライジング・サン」と言う変な作品もありますが、この作品はとても調子よく、この作品の後「存在の耐えられない軽さ」「ヘンリー&ジェーン/私が愛した男と女」「クウイルズ」等秀作、異色作を連発していましたが、最近はすこし低調のようです。劇場で公開された時は、160分でしたが、現在市販されているDVD、BDは193分になっています。
なお、チャック・イェーガー氏は、約1か月前2020年12月7日に享年97歳で亡くなられております。ご冥福をお祈り申し上げます。
このブログ作成にBD版を鑑賞しています。 八点鍾