レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「夕陽のギャングたち(Duck, you Sucker )」(1972)です。
マカロニウェスタンの巨匠セルジオ・レオーネ監督、音楽が巨匠エンニオ・モリコーネと巨頭二人がタッグを組んだ大作になっています。
主演は山賊ファン(ロッド・スタイガー)とIRA崩れの発破屋マロリー(ジェームズ・コバーン)で、20世紀初頭のメキシコ革命を舞台に大暴れする映画です。
映画は "革命は暴力行為である"という毛沢東の言葉が映し出され、ウェスタンでもなく革命という響きに甘いロマンを感じる作品ではありません。
山賊のファンが駅馬車に乗ろうとすると御者が意地悪な奴で、身体検査をし見つけたサンドウィッチを馬糞の中に落とす。フアンはエヘヘと笑いながらサンドウィッチを取り上げて馬車に乗り込むと中は上流階級の人々、色々嫌みを言われるが、次の瞬間、仲間の強盗団が馬車を襲い、金品を奪い、たんまりと儲ける。
そこにハーレーダビッドソン モデルDに乗ったマロリーが通りかかり、彼がベテランの発破屋なので、フアンは彼に一緒にメサ・ベルデ銀行を襲うことを持ちかける。
マロリーとフアンの仲間で、銀行を襲うとそこは政治犯収容所になっていて、フアンは一躍、革命の英雄になってしまう。
政府軍に追われたマロリー達は、山岳地帯に避難して、追ってきた政府軍を橋もろとも吹き飛ばすが(このシーンはとても迫力あります)、革命軍達の隠れ家が急襲され、ファンは逮捕され、銃殺刑に処されるが間一髪マロリーに助けられる。
1個大隊の政府軍が列車で移動するので、それを阻止すべしと命令を受け、マロリーは100キロのTNTダイナマイトを機関車に取り付け、出発する。
そして、ドラマは硝煙とニトロが舞う最後を迎えることになる・・・
本作は157分の長編で、とても良く出来てますが、レオーネ監督の特徴、必要以上に冗長なので、時々欠伸が出そうになります。が名コンビ、モリコーネ先生のあの至高で哀愁のメロディがそれを救っています。本当に素晴らしいと思います。
敢て言わせてもらうと、この作品、ホンがもう少し良く出来ていると本当に素晴らしい作品になったと思います。
レオーネ監督は巨匠ですが、公開当時の評価は、西部劇なのにクローズアップの多用はどうもねと古参の評論家、あのフィルムノワールの巨匠メルヴィル監督もそう語っていました。でも、歴史の中に作品が埋没していないのは優れているからだと私は思います。更に付け加えれば、私は読んだことありませんが、ロシアの思想家、無政府主義者、革命家のミハイル・A・バクーニンの書物までさらりと登場するのですから。
革命(内戦も含む)は残酷です。あのフランス革命では指導者ダントン、ロベスピェール、マラー3名すべてが革命中に命を落としています。血で血を洗うとはこのことを言うのでしょう。
メキシコ革命も1910年から1917年頃までほぼ内戦状態で、大変な数の人々が犠牲になったものと思われます。米国の南北戦争も70万人以上の人が死傷しているのですから。
更に、付け加えればアイルランド独立闘争で、1916年4月24日から約1週間、ダブリンでイースター蜂起が発生しています。アイルランド英国合わせて2500名程死傷しています。血を血で洗う暴力行為そのものです。
とても男のロマンとは言えません。
このブログ作成にBD版を鑑賞しています。 八点鍾