レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「暗殺の森」カメラーテ(同志) クレリチ、秘密指令 ! クアドリ教授を抹殺せよ 、という映画ですが・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「暗殺の森」(1970)です。

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ベルナルト・ベルトリッチ監督作品で、長編第2作目「革命前夜」でカンヌ映画祭で新評論家賞を得て、この作品で世界的に評価されました。若干29歳、「死刑台のエレベータ」で彗星の如く登場したルイ・マル監督の様に早熟の監督だと思います。原作はアルベルト・モラヴィア「孤独なの青年(順応主義者)」を彼自身が脚色しています。ベルトリッチはパゾリーニ監督作「アッカトーネ」で助監督をしたり、セルジオ・レオーネ監督「ウェスタン」の原案を書いていると聞いています。この作品では、少しばかりゴダール監督の影響を受けているようにも思います。

 

映画は、少年時に小児性愛者の運転手リーノに、仲間の苛めから助けてもらったので彼の部屋に行き辱めを受けそうになり、咄嗟にモーゼル拳銃で射殺した過去を持つクレリチ(J・L・トランティニャン)は、この社会に貢献する為、ファシスト、秘密警察の一員になり、今では反ファシズム運動でフランスに亡命している恩師クアドリ教授から情報を得るべく、新婚旅行時にパリに出向き、クアドリ教授に取り入る計画を立てる。

 

計画は承認され、妻ジュリア(S・サンドレッリ)とパリに向かうが、途中、命令は修正され、抹殺しろと言い渡される。

クレリチはクアドリ教授に取り入り、教授がサヴォイアに向かう時を暗殺決行日とすると護衛兼監視役"マンガニェロ(棍棒)"に連絡する。

当日、クアドリ教授の車ランチア・オウガスタには、教授一人のはずが妻アンナ(D・サンダ)が同乗しており、シトロエン11CLで追い駆けるのだが・・・

 

ファシズムの軍靴の響きが聞こえてくる映画です。ベルトリッチ監督のこの作品、とても若いのに大変良く出来た作品になっています。とても素晴らしいと思います。加えて、ジュルジュ・ドルリューの音楽、ビィットリオ・ストラーロの撮影も物凄く効果をあげています。

 

1943年ムッソリーニ政権が崩壊し、妻ジュリアはクレリチにあなたが秘密警察で働いていたことを知っていたと告白する。

混乱のローマの街で運転手リーノの声を聞き、彼が生存していたことを知るクレリチ社会に対する貢献は何だったのかと自己崩壊のの中で聞くトリオ・レスカノの"Come L'ombra(影の様に)"とても甘い響きで、映画は終わる。

 

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。       八点鍾

 

追記 このブログはBD版の特典ライナノーツ(執筆:遠山純生)を一部参照しています。

 

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