レタントンローヤル館

主に映画のお話

「博士の異常な愛情」スタンリー・キューブリックの人間に対する深い洞察映画と言って良いと思いますが・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「博士の異常な愛情 又は私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったのか」(1964)です。

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映画作家スタンリー・キューブリックの傑作というか野心作です。素晴らしい作品です。冷戦真っただ中にこの様なタイムリーな作品を製作したこと、物凄くリサーチしているので、半世紀たった今鑑賞しても古臭くなっていないこと、本当に素晴らしいホンですし、ピーター・セラーズの3役、ジョージ・C・スコットのキャスティングも素晴らしいと思います。

 

「突撃」の後、雇われ監督作「スパルタカス」を撮り上げ、「ロリータ」を監督するが今一歩の評価で、ようやくこの映画でキューブリックらしい作品を監督が出来たと思います。素晴らしいと思いますが、冷たい喜劇、ブラックコメディと言うのか、キューブリックらしい冷たい人間不信のドラマでもあります。でも、この一作でキューブリックの名声は高まりました。

 

この作品は、人間が作り上げたシステム、相互確証破壊(MAD)の話でもあり、どんなシステムでも些細なことで崩れ去るとキューブリックとテリー・サザーン(キャンディ、マジッククリスチャン)は言いたいのでしょう。

 

簡単に、あらすじを説明すると米戦略空軍司令官が精神に異常をきたして、ソ連に対してR作戦を指揮下の34機のB-52爆撃機に命令を下す。米国防省は安全保障会議を開き、それを阻止せんとする。空軍基地を急襲し、司令官を逮捕しようとするが司令官は自殺、副官であるRAFの交換将校が、帰投暗号を探し出して大統領に連絡し、33機のB-52爆撃機を帰投させるが、残り1機はミサイル攻撃を回避した時にダメージを受け、CRM暗号機が破壊され、帰投命令を受信できず、一番直近のICBM基地に水爆を投下していまう。ソ連には、皆殺し装置なる設置されており、その攻撃により作動して地球上に半減期100年の放射性物質が覆いつくすことになる。

 

安全保障会議では、大統領の技術顧問ストレンジラブ博士が総統、と叫びながら、人類が100年後も生存する方法をとくとくと語り始めるのであった・・・

 

例えば、B-52のコックピット内部、安全保障会議室、B-52の対空ミサイルの回避行動のリアリズム、空軍基地での銃撃戦のドキュメンタリータッチ、と思えばテクノクラートのストレンジラブ博士のおかしな演技且つ詳細な技術論、それをコメディとして上手く融合していることに舌を巻きます。

 

同じようなテーマを扱ったシドニー・ルメット監督作「未知への飛行」(1964)の白々しいラストに比べると、嫌なラストですが納得せざる得ないと思います。

 

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。    八点鍾

 

追記 本当はフィンランド映画「ブレスレス」(2019)を取り上げる予定でしたが、個人的に「フラットライナー」とフリードキン監督「クルージング」を足したような映画なのかな思い込んでいましたが、ただのSMに目覚めた外科医の話で、もう少し志の高い映画であることを望んでいたのですが・・・

個人的には「イワンの豚野郎!!」と叫びながらスオミ短機関銃を乱射する継続戦争を描いた「アンノウン・ソルジャー」の方が素晴らしいと思います。

 

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