レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「ゴーストライター」宙を舞う原稿用紙...ロマン・ポランスキー監督のポリティカルスリラー...


レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ゴーストライター」(2010)です。

 

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ロマン・ポランスキー監督のポリティカル・サスペンスです。ヒチコック監督亡き後の"サスペンスの巨匠"と言うと褒め過ぎでしょうか? でも、彼は本当にサスペンス映画が上手いと思います。この作品も、「袋小路」「死の乙女」と言う作品の様に外界から閉ざされた島で起こるサスペンスになっています。

 

元英国首相ラング(ピアース・ブロスナン)の自伝作家が溺死したので、ゴーストライターとして雇われた男(ユアン・マクレガー)は、急遽米国マーサズ・ヴィニヤードに行くことになった。そこにラング氏は私邸があり、前任者マカラの原稿を一か月かけて書き直すことになった。が、自宅に帰る途中、何者かに襲われ出版社から預かった原稿を奪われてしまう。

 

マーサズ・ヴィニヤードにある私邸、物凄くセンスの良い邸宅で、加えてここの殺伐とした風景が良いですよね。どんよりと暗く重い雲、近くには灯台くらいしかない浜辺、海の色も暗灰色で、ポランスキー映画にはふさわしいお膳立てになっています。

 

ラングは、ICC(国際刑事裁判所)から戦犯容疑で調査を受けることになり、ワシントンへ向かうことに。ゴーストライターは、前任者の原稿を読み始め、又前任者の資料を調べ始める。

 

そして、彼の死を調べ始めると、島のある男が、今の時期に酒に酔って海に飛び込んだ場合、島に漂着することはないし、彼が打ち揚げられた浜辺で誰かいた事を目撃した人が階段から落ちて昏睡状態であること、そして、彼が最後に会った人物はCIAの人材担当部門のエメット教授だった。

 

これらを突き止めた後、彼は尾行されているのを知り、その尾行をうまくかわして、元外務大臣ライカートと連絡するのだが・・・

 

大変良く出来たポリティカル・スリラーになっています。2003年3月に始まったイラク戦争時のブッシュ・ブレア人間関係を下敷きにして上手く映像化した作品です。本当に面白く纏め上げています。

 

こういう作品を監督すると素晴らしい力量を発揮します。BMW SUVのカーナビの使い方など上手いものです。又、ラストシーン前後の描写の素晴しいこと。

うーん、美しいです・・・

 

この作品の後、「おとなのけんか」「毛皮のヴィーナス」「告白小説、その結末」

とまだまだ衰えることなく、作品を作り続けています。

最新作は19世紀フランスで起きた冤罪ドレフェス事件に材を撮ったものと聞いています。もっともっと良い作品を作り続けて欲しいと思います。

 

彼は、米国時代に淫行容疑で拘束されたことがあり保釈中に欧州に逃亡しているので、米国での撮影は出来なくて、すべて欧州で撮影を行ったということです。

 

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。    八点鍾

 

追記 BD版には作品のメイキング映像が付いています。ポランスキー監督のビューファインダーを覗く姿のかっこいいこと、美しいです。

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