レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「ディア・ハンター」ベトナム戦争で彼らが体験したのは、血みどろのロシアンルーレットという映画ですが...

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ディア・ハンター」(1978)です。

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そうです、あの新鋭マイケル・チミノ監督の力作と言った方が良いでしょう。その年のアカデミー賞作品/監督等5部門を受賞した映画です。チミノ監督は次作「天国の門」で大幅な予算超過と作品そのものに対する批判と興行成績不振の為、5年程映画を撮ることが出来ませんでした。残念なことです。

 

映画は、米国ペンシルベニア、クレアトンの製鉄所で働くロシア系米国人マイケル(ロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、スティーブン(ジョン・サベージ)がベトナムに出征し、ベトナム軍に捕らえられロシアンルーレット強いられるが、マイケルが一か八かをかけた企みが功を制して、敵を返り討ちにして脱出するが、3人はバラバラになり、マイケルは何とか故郷に戻るが、ニックは行方不明、スティーブンは両足を失って傷痍軍人施設で療養していた。

 

あの戦争が、彼らの運命を変えていた。スティーブンに送られていた現金を追って、陥落まじかのサイゴンに戻るマイケルは、今もロシアンルーレットに狂うニックを発見するのだが・・・

 

上映時間3時間は辛い、前半が冗長過ぎますよね? この作品。まあ、そこがこの映画の味だから仕方ありませんが。

 

今回再見して、米国に帰国して友人達が帰ってから自分の家に現れるマイケル、待っているリンダ(メリル・ストリーブ)とクレアトンの街を歩くシーンが素晴らしい。皆は優しく迎えてくれるが、ベトナムの戦況は良くなく、雰囲気は出征前とがらりと変わり、すさんでいる感じ、恥ずかしそうに歩くマイケル、こういうアメリカ映画は初めてだと思う。

 

味わいは違いますが、その重々しさは、今井正監督「あゝ声なき友」(1972)を思い出す。先の大戦の中国戦線で偶々一人だけ病気で倒れ、生き残った。但し、彼らの遺書を託されたので、戦後の混乱が落ち着いてから淡々とそれを残された肉親に届ける映画だった。

 

映画は良く出来ています。が、やはりバランスが少しとれていないように思います。

ですが、ベトナム帰還兵を正面から見据えた力作だと思います。今鑑賞してもロシアンルーレットのシーンはサスペンスたっぷりです。個人的には、チミノ監督にはもっともっと活躍して欲しかったと思います。個人的には「天国の門」は好きな作品です。

 

このブログでも紹介した「シシリアン」とか、チャイニーズマフィアとの対決を描いた「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」だけではね、力量のある監督だっただけに残念ですが・・・

 

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。      八点鍾

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