レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ロング・エンゲージメント」(2004)です。
監督がジャン=ピェール・ジュネ(「ロスト・チルドレン」「エイリアン4」)、独特の語り口で、とても面白い画面構成を特徴とする映画作家で、特に傑作「アメリ(アメリ・プーランの素晴しき運命)」で大ブレークした監督です。
この作品は、「アメリ」と比較すると題材が題材なだけに地味にくすんでいますが、私はこちらの方が好きです。よく似たような作品は日本にもあります。例えば、深作欣二監督「軍旗はためく下に」(1972)がそうですが、暗く重く何度も見たい映画にはなっていません。
でも、この作品は違います。勿論、重い作品ですが、ジュネ監督独特の語り口、画面構成で何度も鑑賞できる、ほんのちょっぴりメルヘンタッチな映画です。たまらない映画です。個人的には、あの「1917」より「素晴らしき戦争」より「総進撃」より「突撃」より好きかな・・・
マチルド(オドレイ・トトゥ)は、1900年1月1日生まれの少し変わった女の子。子供の頃、両親が事故死したので口癖は「親は灰に」。伯父夫婦に預けられるが、小児麻痺にかかり足が不自由、恋人がおり、彼は灯台守の息子マネク(ギャスパー・ウリエル)。マネクはいつも"MMM(マネクはマチルドを愛している)"と彫っている。又、マチルドはいつも願をかける女性で、辛い時は灯台の近くでチューバを吹く。
やがて、マネクは第一次大戦に召集され、ドイツ軍軍地へ突撃の時、一人の兵隊が直撃弾を浴び、バラバラに吹っ飛びその返り血を浴び、その後精神を病み、"故意の負傷"で右手の二本の指を吹き飛ばした。軍はその行為を許さなかった。彼に死刑を宣告するのだった。
その日、ソンム県フランス軍塹壕゛ビンゴ・クレピュスキュル"に五人の死刑囚が運ばれてきた。何れも故意の負傷を行ったもので、その中にマネクもいた。彼らは、最後の夕食を与えられてから塹壕から追い出されるのであった。
マチルドはマネクが戦死したと連絡を受けるが、それを信じることなく私立探偵ピールを雇い、真実を調べ始めるのだが・・・
渾身の力作、好きな人にはたまらない程良く出来た戦争映画でもあり、ミステリー映画です。原作がセバスチャン・ジャプリゾ「長い日曜日」。
戦闘描写、考証、パリの街、風俗描写特に野戦病院の阻塞気球爆発シーンは涙物の仕上がりです。信管の動作シーンの描写迄あるものですから。
共演はドミニク・ピノン、チェッキー・カリョ、ジョディ・フォスター、マリオン・コティヤール等。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鍾