レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「名も無い日」彷徨う心、兄の贖罪、そして癒しと和解ですが…

レタントンローヤル館にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「名も無い日」(2021)です。バリバリの新作です。名古屋を舞台にした作品なので、名古屋では5月28日より、他の地区では6月11日より公開になっています。

 

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私も名古屋に住んでいるので、名古屋を舞台にした映画があると応援したくなります。以前ご紹介した増村保造監督のサスペンス「動脈列島」も名古屋市熱田を舞台にしています。

この作品も熱田、正確に言うと熱田神宮の近くの大瀬子町で、その界隈、例えば、宮の渡し公園がとても巧く使われておりと全体として名古屋南部がとても生き生きと描かれています。初夏の熱田祭りを物語の中心に据え、男三人兄弟の心の葛藤、贖罪、そして和解と再生がテーマになった作品です。

 

ニューヨークでカメラマンとして生計を立てている達也(永瀬正敏)は、弟隆史から次男章人が亡くなったと連絡をもらい名古屋に帰って来た。達也は、過去のある出来事を思い出すのだった…

彷徨う達也、ちょっとヴェム・ヴェンダース「パリ・テキサス」が思い出されるように達也の心は揺れて、贖罪の意識が… 少しばかり重い作品ですが、志の高いとても良く出来た作品になっています。

 

監督はカメラマン出身の新鋭日比游一、主演は永瀬正敏、オダギリジョー、今井美樹、藤真利子、真木よう子ら、日比監督は監督だけではなく、企画、原案、製作とこなしており意欲作、力作であり、多分に私小説ならぬ私映画な味わいの作品です。次回作も期待したいと思います。

 

この作品は夜間撮影が素晴らしく、本当に熱田祭りのシーン等、私は何度も訪れたことがありますが、実際より素晴らしく映像化されています。うーん、本当に美しいと思います。撮影監督は高岡ヒロオ、音楽岩代太郎、主題歌をエミー・マイヤーが好い味を出して歌っています。

 

名古屋って、海老フライとかトヨタ自動車くらいしか思い浮かばないアナタ、一度この作品を見れば、名古屋にこんなところがあったんだと思いなおすこと間違いありません。

 

出来れば、コテコテの名古屋弁を話す渋い渋い永瀬正敏の演技を味わいながら、この映画を応援して欲しいと思います。                     八点鍾

 

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emimeyer.jp

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