レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「太陽が知っている」(1969)です。
監督はジャック・ドレー、あの「ボルサリーノ」を監督しています。でも、それ以外ではあまり有名な作品がなく、このブログで取り上げた「フリックストーリー」ぐらいで、日本では只の職人監督程度の認知度しかありません。
映画は、自殺未遂の過去があるジャン・ポール(アラン・ドロン)とマリアンヌ(ロミー・シュナイダー)はサントロペの豪華な別荘で何することもなく、毎日プールで泳ぎながらのんびりと暮らしている。
ある時、ハリー(モーリス・ロネ)が娘ペネロープ(ジェーン・バーキン)を連れて現れる。二人だけのんびりと過ごしていた生活は、少しずつ変化し始めるのだった…
この作品、拝見して驚きました。冒頭からハリーがマセラティ・ギブリに乗って登場するまで、ドロンとロミーのラブシーンが生々しくと描かれる。撮影が良いんです、ロミーの身体を舐めるようなショットに驚きました。うーん、美しい。
この作品、原作を読んだことありませんが、脚本にジャン=クロード・カリエール(昼顔、ひきしお、ブリキの太鼓、存在の耐えられない軽さ)が参加しているので、本当はもっと別な意図を持った映画にしたかったのでは?
そういう意味で、早く生まれ過ぎた映画の様に思います。例えば、「ラストタンゴ・イン・パリ」辺りに企画が通った映画であれば、もっとドロドロとした男女の愛欲がスクリーンに映し出されて、狙い通りの映画になったのではと思います。
前半、特にそんな感じがしますが、当時は、まだ性描写規制が強くて難しかったのでしょう。だから、ルカ・グァダーニノがリメイクしたのが判るような気がします。但し、完成した作品は、余分な描写が多くまた少し違いますが。
後半、バーキンを巡って、ドロンとロミーの会話もかなりどぎつく交わされ、バーキンとの絡みもどぎつく描写すれば、結構ユニークな映画になったのではと思いますが。
そういう意味ではもったいない作品だと思います。
個人的には、折角マセラティ・ギブリを登場させているのですから、ワインディングロードを空撮で捉えてお終いではなく、たっぷりとレブカウンター、シフト、エクゾースト、ホイール等のショットをモンタージュして観客を楽しませて欲しいと思います。
音楽はミシェル・ルグラン、衣装をアンドレ・クレージュ、だから時々未来的な衣装を纏うロミーが、「魚が出て来た日」のキャンディス・バーゲンの様に見えて。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。今回、このDVDはリマスター版で発色、画質が良いのに驚きました。ロミーの美しい事、ほんと素晴らしいと思います。
誰か、もう一度リメイクして欲しいと思います。勿論ギブリも出して。 八点鍾
追記 ロケ地等知りたいのであれば 居ながらシネマ 太陽が知っているを訪問ください。