レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「キャットピープル」(1982)です。
養父母に育てられたイレーナ(ナスターシャ・キンスキー)は、ニューオーリンズに到着し、実兄ポール(マルコム・マクダウェル)に会う。イレーナは街を散策時、動物園に行き園長オリバー(ジョン・ハード)に会い、互いに惹かれ合う。
が、ポールから俺達は"キャットピープル"(猫獣人)で、人とセックスすると豹になり、人間に戻るには人を襲わなくてはならないと教えられるのだが…
この作品はホラー映画に分類されると思いますが、あまり怖くありません。又、この映画は1942年の同名映画のリブートで、オリジナルは女性の破瓜恐怖を暗に描いた作品と言われています。
リブートは、男性と関係すると豹に変身、人間に戻るためには人間の肉を食べる必要がある猫獣人族と人間との悲恋に重点を置いているので、オカルト風恋愛映画と言う趣ききです。オリジナルそのもののスタイルで1980年代にリブートしても意味がないので、こういう形で映画化したのだと思います。1970年代のフリーセックスを体験した人達の映画で破瓜恐怖なんて馬鹿げていると製作者サイドは考えたのでしょう。
作品の見所は、調度特殊メイクが急速に発展していた頃の作なので、変身シーンは見応えがありますが、私はそれ以上に、作品全体を覆うエロチックな描写、赤砂が舞い上がる猫獣人族部落、ニューオーリンズの古いフランス風屋敷、その街並み、南部バイユー地帯、イレーナが首に巻く赤いスカーフ、自分の血から導かれる運命を知るシーン、動物園のレトロ調建物等この映画を彩る要素、シーンがなかなか良いと思います。
そう考えて鑑賞すると結構良く出来た作品だと思います。もっと評価されても良いのではとも考えます。但し、妖艶なキンスキーに比すると、ジョン・ハードが少し弱いような気もします。私は個人的に好きな映画ですが。
監督は「アメリカン・ジゴロ」のポール・シュレーダー、「ザ・ヤクザ」では脚本を書いています。音楽はジョルジョ・モロダー、主題曲をデビット・ボウイが歌いました。
映画のありえないほど悲しい結末もファンタジーとして見れば、あり得ることでしょう。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鍾