レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「Summer of 85」(2020)です。
この作品は、エイダン・チェンバーズの小説「俺の墓の上で踊れ」を原作にしています。この原作からボリス・ヴァイン「墓にツバをかけろ」のようなノワール作品なのかなと思いきや、全く違った青春映画でした。正確に言えばLGBTの青春映画です。但し、薄味ですが…
映画は、ノルマンディー地方の小さな港町。16歳のアレックス(フェリックス・ルフェーブル)は、セーリング中ヨットを転覆させて漂流中、ダヴィド(バンジャマン・ヴォワザン)に助けられる。二人はすぐに打ち解け、親しい関係に発展する。
ある時、ダヴィドが「どちらがが先に死んだら、残された者はその墓の上で踊って欲しい」と。
が、その誓いはすぐにやって来た。ダビッドがアレックスの知り合いケイトと関係を持ち、二人の関係は崩れ、ダビッドは失望して交通事故で死んでしまう。
アレックスは、誓いを守るべく墓の上で踊るが、警察に拘束されて…
フランソワ・オゾン監督作品です。だから、こういう話でもガッチリとまとめて、ラストは何やら清々しささえ感じいります。この作品のようなすこし歪な三角関係でも、とても巧く描いています。
女装したアレックスが死体安置所のダビの死体に会いに行くコミカルなシーン、ロッド・スチュワートの「セーリング」をバックに墓の上で踊るシーン等なかなか見せてくれます。
でも、私はこういう映画より好みで言えばサスペンス映画、彼の作品で言えば、例えば「8人の女たち」「スイミングプール」「二重螺旋の恋人」の方が好きなんですが。
八点鍾
追記 「墓にツバをかけろ」は、その昔WOWOWで鑑賞することが出来ました。白黒ごちゃ混ぜノワールで今3歩ぐらいの作品でした。DVDもあるそうなので、興味のある方はどうぞ。