レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ジュリア」(1977)です。
名匠フレッド・ジンネマンの作品です。「真昼の決闘」「地上より永遠に」「オクラホマ」「尼僧物語」「日曜日には鼠を殺せ」「わが命つきるとも」「ジャッカルの日」等傑作、力作ぞろいです。
この作品もとても良く出来きた作品です。但し、少しばかり地味ですが。当時、「結婚しない女」「グッドバイガール」「アニーホール」等女性を主人公にした女性映画が立て続けに公開され、この作品もそのジャンルの一つとして公開されました。
が、内容は些か異なっており男女を問わずジンネマン好みの信念を貫く女性、リリアン・ヘルマンを描いた作品になっています。
映画は、晩年のリリアン・ヘルマン(ジェーン・フォンダ)がまだ薄暗い朝、池に小舟を浮かべ釣りをしながら過去を回想するところから始まります。幼友達ジュリア(ヴァネツサ・レッドグレープ)の友情、ダシール・ハメット(ジェイソン・ロバーツ)との共同生活、友情、「子供の時間」を書き上げた後の欧州旅行、途中反ナチグループの依頼を引き受けベルリンへの活動資金運搬等…
ダシール・ハメットはハードボイルド作家、代表作にあの「マルタの鷹」「血の収穫」「ガラスの鍵」「影なき男」等があります。ハメットがミステリーの中でハードボイルドと言う新しいジャンルを確立したと言ってと思います。
ハメットとリリアン・ヘルマンが、こんな関係だったとはこの映画を見るまで全く知りませんでした。ジェイソン・ロバーツが良いですね、晩年の枯れたハメットを演じて、さりげなく支えてリリアンに正確な助言を与えたりして。彼はこの作品でアカデミー助演男優賞を得ています。
リリアンは、ジュリアを助ける為反ナチグループの活動資金をベルリン迄運搬してサスペンスフルで丁寧な描写、うーん、美しいです。
こういう映画があるから映画道楽が止められない。ジンネマン監督、ホント罪作りな監督です。でも好きだし、本当に良い監督だな。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鍾
追記 よく言われることですが黒澤明「用心棒」は、ハメットの「血の収穫」から構想を得ています。コーエン兄弟「ミラーズ・クロッシング」も同様です。又、オストマルク州とは、オーストリア併合後のオーストリアのことです。
www.youtube.com なかなかいいトレーラがないのでこれでご勘弁を