レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「 ザ・クラッカー/ 真夜中のアウトロー」クールなノワールスリラー、マイケル・マン監督劇場公開第一作ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー」(1981)です。

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マイケル・マン、うーん、美しいです。この第一作、後の彼の作品のすべてがギュと濃縮されて詰まっているんです。芸術家は、処女作に向かって技巧を向上させて果てていくとか。まったくその通りです。

映画の冒頭は、フランク(ジェームズ・カーン)による金庫破りのシーンで、このシーンが素晴らしいです。普通、金庫に聴診器を当ててという映画が多い中、フランクはマグネックスタンド付き大型電動ドリルで金庫の錠箱辺りに穴を開けてロック機構をタガネとハンマーで叩き壊す。うーん、惚れ惚れします。加えて、夜間撮影の美しさとタンジェリン・ドリームの音楽の素晴しさ。

フランクの表の仕事は中古車販売会社社長、世話になった大先輩オークラ(ウィリー・ネルソン)を保釈するために手を尽くす。新しいパートナー、ジェシー(チューズディ・ウェルド! 美しいです)共に裏の仕事から手を洗おうとするが、組織のボス、レオは執拗にフランクに次の仕事をやらせようとする。

仕方なく引き受けるフランク、高温を発する鎔断棒を使用して特殊鋼出来た金庫をぶった切って成功させるが、フランクの分け前をピンハネするし仲間バリーまで殺してくる。フランクは、ジェシーを逃がすとレオの処に向かうのだった…

プロットはありきたりですが、前述したように、金庫破りのディテール描写、ラストのコンバットシューティングがなかなかで、好きな人にはたまらなく魅力を持った映画だと思います。

又、ジェームズ・カーンですが、その昔ハワード・ホークス監督「レッドライン7000」「エルドラド」とかコッポラ監督「雨の中の女」「ゴッドファーザー」ペキンパー監督「キラーエリート」等色々見ていますが、このフランクが一番好きです。

現在、マン監督はあの映画版「マイアミ・バイス」の興行的失敗で、往年の輝きを失っているようですが、まだまだ老い込むのは早い。ガツンと冴えた作品を引っ提げて復活をして欲しいと思うのは私だけではないと思います。

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。       八点鍾

 

追記 フランクがラスト、レオのアジトで銃を構えるスタイルをウィバースタンスと言うそうです。古典的なスタイルとのことです。最近あまり見ないスタイルなので。

この作品、日本では殆ど宣伝もされずにひっそりと公開されました。キネマ旬報編集長白井佳夫氏がとても褒めていたので鑑賞しました。

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