レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ブラツクボックス 音声分析捜査」(2021)です。
音声分析捜査とは、旅客機が墜落した場合、そのブラックボックス内にある交信記録から旅客機に何が起こったのか推理、仮説を立てその仮説を証明するする一連のプロセスのことで、この手の映画はそんなに多くありません。
その昔、ラルフ・ネルソン監督「不時着」(1964)辺りが初めてになるのでしょうか。その映画では、キャビンアテンダントがコックピット操縦席近くの操作盤の上に置いた珈琲がこぼれ操縦不能になる話でしたが。21世紀の現代では、もっと複雑な要因が浮かび上がります。
映画は、ヨーロピアン航空の新型機アトリアン800が墜落しブラックボックスが回収され、BEA(航空事故調査局)のポロックが責任者となり事故調査が始まりますが、翌日マチュー(ピエール・ニネ)が呼び出され、ポロックが行方不明になり、君が責任者として担当して欲しいと依頼される。
マチューは、ブラックボックスに録音されていた交信記録を丹念に調べ、コックピットにイスラム過激派が入ったと報告する。が、彼の心の中では、何か割り切れないものが残った。後日、犠牲者の家族からの携帯電話記録から、彼はブラックボックスの交信記録に何者かが改ざんしていることに気付く。この辺りまで新しいタイプのサスペンスミステリーの登場かと思いましたが、その後の失踪したポロックの扱いがお粗末で…
フランス警察も出てこないし、彼の自宅にもマチューが簡単に忍び込むのは良いとして、ブラックボックスがらみの備品が現れるのはどうでしょうか? ハリウッドならもっと上手くサスペンスを盛り上げるのだが…
新しいところに目を付けた佳作のサスペンススリラーですが、もっともっと上手く仕上げたら傑作になっていたと思います。ラストもありきたりで、勿体ない映画だと思います。うーん、残念です。監督はヤン・ゴズラン。
最後に、マチューさん駄目ですよ。プジョー3008に乗っていては。エレキの車はハッキングには簡単にやられてしまいます。今後は機械式燃料噴射の車、例えばBMW2002tiiであれば、簡単に逃げることが出来たのに。ターボ仕様なら尚可ですが。 八点鍾