レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「高校教師」(1972)です。
この作品、無精髭を生やしたダニエレ(アラン・ドロン)が北イタリア、リミニの街に臨時高校教員として赴任してくる。教室で美しい女子生徒バニーナに会い心惹かれる。バニーナにはジェラルドと言う恋人がおり、彼はランボルギーニ・ミウラを乗り廻して高校教員スパイダー、マルチェロとつるんで夜遊びをしている。ある時、バニーナと一緒になりジェラルドのマンションに行くのだが…
イタリア、ヴォレルオ・ズルリーニ監督のこの作品、イタリアってこんなに緩いのとカルチャーギャップにまず驚きます。先ず主人公ダニエレが臨時教員らしくないし、女子生徒と一緒にナイトクラブに行くなんて、でも映画だからいいでしょう。もっと違和感を感じたのが、彼が務める高校の生徒達、高校生には見えないな。大学生ならOKでしょうが。ヒロイン、バニーナ演ずるソニア・ペトローバは美しいんですが、20歳の女子高校生には見えなく、ダニエレの同僚の先生方もとても先生には見えなくて…
おまけに、バニーナの彼はランボルギーニ・ミウラ、同僚スパイダーはポルシェ911とフェラーリ330GTC、対してダニエレはシトロエン11B。とてもアンバランス。
どういう映画なんでしょうか、見ていてずっーと首をひねっていました。でも、演出はしっかりしていていますが、ホンがメチャクチャの様な感じがします。ダニエレの父が、あのエルアラメーンの戦いの英雄というのも効いていませんし、アリダ・ヴァリ、レア・マッサリとキャストも豪華ですが、どうしてこの作品に共演しているのかもわかりません。スタンダールの「ヴァニナ・ヴァニニ」がセリフによく登場します。私は読んだことないので分かりませんが、これが重要なのかもしれません。
あくまでも私の受けった感じですが、この作品イタリアン・ニューシネマとして見ればまあ、いけるかも。良いシーンもありますので。さらにもう少しセックスがらみの描写を多くしたら、あの「ラストタンゴ・イン・パリ」の先駆的な映画になったように思います。全編を覆いつくすマリオ・ナシンベーネ作曲のメロディーが、私にはあの「ラストタンゴ…」のガトー・バルビエリのメロディの様に聞こえます。何れにしても、ドロン主演作の中でも異色の映画だと思います。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鍾
追記 シトロエン11Bとてもアンバランスで。やはりフィアット124辺りぐらいでないと… 脇でレナート・サルバトーリが登場。高校教員には見えないですね。拳銃を振り回して明るく死ぬ役ではないと。