レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「アネット」(2021)です。
コメディアンと言うよりパフォーマーのヘンリー(アダム・ドライバー)は、オペラ界のスター歌手アン(マリオン・コティヤール)と一緒になり、やがて娘が生まれる。娘アネットは歌の才能があり、それを生かしてヘンリーは生きていこうとする。家族三人で船旅中に嵐に襲われアンは海に沈み行方不明に。ヘンリーは次なる仕事に取り掛かろうとするのだが…
あのレオス・カラックス監督(「汚れた血」「ポンヌフの恋人」「ポーラX」)のミュージカル映画です。えっ、彼にミュージカル映画が撮れるとはと思いましたが、才能溢れるカラックス監督だから、ちゃんと撮れています。ですが、かなり風変りと言うより尖がった映画になっています。
私の好みを言わしてもらえば明るい映画。例えば「ラ・ラ・ランド」とか「8人の女たち」の様な作品が良いのではと思いますが。この作風だと観客が食い付いてこないのでは。鑑賞していて、ラース・フォン・トリアー監督「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を思い出しました。主人公が人殺しをするところもよく似ていますし、この辺りはあの"太陽は知っている"ととても良く似ていますが、何かやり切れないような思いが残るラストも良く似ています。
でも、結構技巧を凝らした作品で、変わった音楽といい絵もあるので、この様なタッチが好きな人にはたまらない作品だと思います。だから、この作品、私も絶対嫌な作品とは言いません。「ダンサー…」は暗くて好きな映画ではありませんが。 八点鍾