レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「欲望」(1967)です。
映画は、ロンドンで新鋭のファッションカメラマン、トーマス(デビッド・ヘミングス)はその感性に任せて写真を撮り続けている。ある時人気のない公園で二人の男女に目が行き盗撮をした。若い女(ヴァネッサ・レッドグレイプ)はすぐに盗撮に気付き、トーマスに立ちふさがりフィルムを渡して欲しいといきり立ったが、彼は無視して自分のアトリエに戻った。が、女が待ち伏せしていて、仕方なくアトリエに入れた。
女は執拗にフィルムを要求してくる。最初はそれを楽しんでいるようだったが、少し不安に駆られ、別のフイルムを渡して女を立ち去らせるのだった。
トーマスは、そのフイルムを現像して驚いた。何者かが女と一緒にいたあの男を殺そうとしていた様子が写っていたのだ。引き延ばしてさらに確認すると、男は木立の下で死んでいるようにも見える。彼は、写真を撮った公園に戻ると男は死んでいた。怖くなってアトリエに戻ると、アトリエの中は荒らされており、引き延ばした写真もネガもすべて無くなっているのだった…
愛の不毛を描くミケランジェロ・アントニオーニ監督が英国製作したちょっとユニークなサスペンスタイプのポップカルチャー映画です。このブログでは、アントニオーニ監督として「さすらいの二人」「砂丘」を取り上げていますが、個人的には、この作品がとても纏まっているので一番好きです。
普通に作り上げるとつまらないサスペンス映画を彼なりの個性で、上手く創り上げています。ラストのパントマイムのテニスもいい雰囲気を醸し出しており、そういう意味でこういう創り方もあるのだと、美しいと思います。
主演はデビッド・ヘミングスでこの作品でブレークして、以後余り伸びなかったのは残念。この作品ではロールスロイス シルバークラウドⅢドロップヘッドクーペを乗り廻してとてもステキだったのにね。少し後に、彼が主演した「遥かなる戦場」と言う作品が好きでしたが。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鍾