レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「ドンバス」2014年のウクライナ、ドンバスでは何が起こっていたかという映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ドンバス」(2018)です。

初めてのウクライナ映画です。そしてロシアによるウクライナ侵攻で最もホットな映画であることに間違いないでしょう。と思い鑑賞したのですが、考えていた映画、例えば「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」のような作品とは少しばかり違っていました。この作品は現在の侵攻をを描いているのではなく、2014年の侵攻を描いた作品です。

映画は、小さなメイク室で色々な人達がいるところから始まります。一人の女性が入って来て、準備で出来た人から外に出てねと言われて、外に出ると団地の近くで爆発が起こり、そこで先ほどの人達が下手な演技をして怖かった、とかもう嫌!とかTVカメラの前で話始める。そうフェイクニュース造りに参加しているのでした。ここまで見て、えっ!こんな映画なんだと思い、選択ミスしたなと思いましたが、それは杞憂でした。進むにつれてなかなか見せてくれる映画ですが、まあ、この手の映画が好きな人でないと駄目でしょう。観客を選ぶ作品です。つまらない作品ではありません、念のため。

その後、物資隠匿、ドイツ人記者の侮辱、地下避難所で起こった出来事、変な平和活動家達の訪問、SUV徴発のエピソード、無断外泊した兵士の懲罰ガントレット、ウクライナ兵捕虜に対する一般市民の暴行、結婚式等エピソードが並び又再び冒頭のシーンに戻る映画で、全体に私の苦手なロバート・アルトマン映画のスタイルです。

この中で強烈なのは、ウクライナ兵捕虜に対する一般市民の暴行、足の悪い老婦人で松葉杖で捕虜をしこたま叩くところ、怨嗟の声がスクリーンから聞こえてくるようでね。それとノヴォロシア共和国内での結婚式のエピソード、彼らから見れば極東の端に住んでいる日本人には判り辛いエピソードで、現在行われているこの侵攻も何れも終わりを告げるでしょう。

その後は両サイドから色々なエピソードを含んだ作品が登場するだろうし、何れにしろ今後、ロシアは色々な枠組みから外されるでしょう。そんなことを考えながら鑑賞した作品でした。                          八点鍾

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