レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「ゲティ家の身代金」ちょっと変わった誘拐映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ゲティ家の身代金」(2017)です。

1973年7月にローマで誘拐されたポール・ゲティ3世が誘拐され、その顛末を映画いた映画です。当時、日本でも報道され話題を呼びました。

一般に誘拐映画の決定版と言えば黒澤明監督「天国と地獄」でしょう。ほんとうに優れたサスペンススリラーになっていました。リドリー・スコット監督のこの映画は、少し立ち位置が違います。これはこれで結構良く出来たサスペンススリラーだと思います。成功した要因はやはりホンで、このポール・ゲティという当時世界一の大富豪に焦点を当てた誘拐事件が大変ユニークで、そうでなければ平凡な誘拐映画の一つと言うところでしたでしょう。このゲティ氏、"世界中の金を手に入れた"と言われるほどの大富豪にもかかわらず物凄いケチだったのですから、犯人相手に身代金をまけろと言うのですから前代未聞です。というよりこういうスタイルでなければ世界一の大富豪にはなれなかったのでしょう。

映画は良く出来ています。スコット監督の作品は3つの種類の映画があります。一つはお得意のSF映画、もう一つが私が一番評価する歴史物というか西洋剣劇物、最後が現代物、例えば「ブラックホーク・ダウン」「テルマ&ルイーズ」と言う秀作もあり、この作品もそれら作品に少し落ちるぐらいかなと思います。

当時の世相、雰囲気をよく出した作品で、勿論ラストシーンでは、サスペンスもあり、私は余り好きではないマーク・ウォールバーグが演じた交渉人もとても良いと思います。でも、この作品一番素晴らしいのゲティ氏を演じたクリストファー・プラマーでしょう。美しいです。

それは二つの意味があります。一つは彼の演技が素晴らしいことと元々この役はケヴィン・スペイシーが演じていたが、彼の過去のセクシャルハラスメントが原因で公開中止になりかけたが、プラマーが代役を演じてお蔵入りから公開出来た事。

いや、クリストファー・プラマー氏のおかけでこの作品、陽の目を見て本当に嬉しかった。もう見れない作品かなと思っていましたから。

少し小声で言えば、スコット監督の早撮りも貢献していると思います。BD版についているインタビューでは、一日50カット撮ったと誇らしげに言っていましたから。うーん、美しいです。

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。          八点鍾

 

追記 この作品、ケヴィン・スペイシーからプラマー氏への追加撮影に対して、追加撮影出演料の再交渉が行われ、ミシェル・ウィリアムは1000ドル以下のギャラで納得したのに対してウォールバーグは150万ドル程度のギャラを貰いそれが明るみに出て非難を浴び、最終的に寄付したとか。何か育ちの悪さが判る行動ですね。でも、映画の中で彼が乗り廻すジャンセン・インターセプターMkⅢは美しいです。

最後に、ケヴィン・スペイシー主演「ゲティ氏の身代金」も何れBD、UHDで販売して欲しいと思います。とても興味があります。

www.youtube.com

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