レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「マルサの女」日本経済絶頂期の頃、こういう映画がありました…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「マルサの女」(1987)です。

若い人は知らないかもしれませんが、有る年代から上の人には良く知られている映画だと思います。伊丹十三監督は「お葬式」と言う作品で名を上げ、グルメ達を斜めに構えて辛辣に描いた「タンポポ」でも評価され、そしてこの作品で知られるようになりました。私は彼を「北京の55日」(1963)という北清事変を描いた作品で知っていましたが、まさか監督をしていたとは…

映画は、日本はバブル景気に浮かれていた頃、港町税務署で働く板倉亮子(宮本信子)は、ラブホテルを経営して多額の脱税をしている権藤英樹(山崎努)に狙いを定めて調査を始めるが暴力団関東蜷川組組長(芦田伸介)に邪魔をされてその悪事を暴くことが出来なかった。やがて、板倉は国税庁査察部に栄転し査察官になる。マルサの女になった板倉は、もう一度あの権藤に復讐戦を挑むのだった…

この作品、先ずホンが良いね。そして、足の悪い強欲なラブホテル経営者権藤を演じる山崎努がもう楽しそうに演じていて、これを見るだけでも再見の価値はあります。本当に美しいと思います。ラストのシーンもなかなか味がありますしね。

いや、時々気がめいったりするとこの映画の冒頭15分位かな、鑑賞するんです。権藤さんが、滅茶苦茶カネを儲けるシーン、笑えるし気分が晴れるんです。愛人宅で「ちくしょ、又儲かっちゃた」と叫びながら変なダンスを踊るところ、何かホントに口元が緩みます。これは役者冥利に尽きますよね。羨ましいと思う人もいるでしょうに…

全体がこんな感じで人間の性を時にコミカルに時に厳しく描いています。黒澤明作品の様にコッテリとではなく、さらりと描いているのが伊丹監督の特徴で、そのさらりとした感じがこの作品ではよかったと思います。

例えば、黒澤監督「悪い奴ほどよく眠る」という映画があります。良く出来たノワールスリラーですが、重厚過ぎて重いですよね。伊丹監督の様なさらりとした演出の方が良かったと私は時々思いますが。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。        八点鍾

 

追記 この作品、結構オールスターな映画なんですね。宮本信子、山崎努、意外に津川雅彦、小林桂樹、大地康夫、松居一代、室田日出男、佐藤B作、橋爪公、伊東四朗、マッハ文朱、岡田茉莉子、ベンガル等が共演しています。

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