レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「イングロリアス・バスターズ」(2009)です。
あのタランティーノ監督の戦争映画です。どっぷりと彼の戦争映画を楽しんでください。でも、私はこの作品良く出来ていますが、何か視線が定まらない作品で…
映画は、フランスの片田舎でSSランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)を追求を受け、どうにか逃げることが出来たユダヤ娘ショシャナ(メラニー・ロラン)がパリで映画館をひっそりと経営している処にドイツ軍狙撃手フレデリックが彼女を見染て、自分をモデルにした戦意高揚映画「国家の誇り」を彼女の映画館でプレミア上映したいと宣伝相ゲッペルスに願い出てそこでプレミア上映を決定する。が、彼女は身を犠牲にしてナチ高官たちと共に自爆しようと考える。チャーチル首相もその情報を手に入れて、先にフランスに潜り込んでいる"バスターズ"のレイン中尉(ブラッド・ピット)に打診して、ヒトラー、ゲッペルスもろとも皆殺しにする計画をたてるのだが…
多分、タランティーノ監督はロバート・アルドリッチ監督「特攻大作戦」が大好きなのでしょう。プレミア上映会の阿鼻叫喚のシーン等とても良く似たショットがあります。
でも、この作品何か視点の定まらない作品で、例えば題名が「イングロリアス・バスターズ」にもかかわらずこのバスターズの面々の紹介が軽すぎて、加えて周りの人々、ゲッペルスとか狙撃手フレデリックの方ばかりにカメラが向かい、何か私にとって居心地の悪い作品になっています。個人的には、あのロジャー・コーマン監督の戦争映画「侵略戦線」(1964)のような映画を期待していたのですが。
が、タランティーノ監督のサスペンスの盛り上げ方、得意の話術、他のサウンドトラックの使い回しは素晴らしく独特の雰囲気を盛り上げています。ここは見事だと思います。特に「キャットピープル」「戦争プロフェショナル」「遥かなるアラモ」等。
キャスティングでは、クリストフ・ヴァルツが素晴らしいと思います。タランテイーノ監督が好きな人、嫌いな人も楽しめる映画になっています。戦争映画をよく見ている人は、監督の悪ノリが目に付いて駄目かもしれませんが。
このブログ作成にBD版を鑑賞しています。 八点鍾
侵略戦線 予告編