レタントンローヤル館

主に映画のお話

「野火」1944年レイテ戦線崩壊後、帝国陸軍田村一等兵の顛末を描いた映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「野火」(1959)です。

この映画は、「レイテ戦記」で有名な大岡昇平の小説「野火」を市川崑監督が映画化したものです。主人公田村一等兵(船越英二)は、肺病で部隊と野戦病院を行ったり来たりしている遊兵だが、米軍の更なる攻勢により野戦病院、部隊は全滅してしまう。パロンポンがら船が出てセブ島に脱出するので集まれと聞き、仲間とパロンポンを目指すのだが…

レイテ島での戦いの流れが分からないと理解しづらいので、以下簡単に紹介します。

フィリピン、レイテ島に米軍が上陸した時大本営では捷一号作戦を発令、戦艦大和を旗艦とする聯合艦隊をレイテ湾に突入させて米軍を殲滅しようとするが、栗田長官が敵情不明として聯合艦隊を反転させてしまう。レイテを防衛していた第16師団は簡単に壊滅してしまうが、レイテ島の裏側オルモックに陸軍増援部隊第1師団が上陸に成功しリモン峠を押さえてしまう。リモン峠の攻防戦は苛烈でその為米軍は海軍と共にオルモックに上陸占領し背後からリモン峠を攻撃することで日本軍は総崩れとなり、この映画の様に兵隊が游兵化する状態になってしまう。

評価の高い作品なので購入しましたがなかなか見る機会がなくて、今回初めて鑑賞しました。何と言ったらいいのか、いや凄い作品でした。これは勘弁して欲しいと思いました。良く出来た作品だと思います。小説であれば、文字情報だけなので読者個人の想像力でいかようにもふくらますことが出来ますが、映像表現となるとより具体的になるので…

戦争映画と言うより、不条理映画、ゾンビ映画と言った方が適切ですね。田村がフラフラと彷徨うシーンではパゾリーニ監督「テオレマ」「豚小屋」を思い出しました。実際の戦闘がこのようになったのか分かりませんが、私はもっと別の形を取ったように思えます。これに比べると、まだ戦艦大和の乗組員の方がマシな様な気がします。だから、この作品はあまりお勧めは出来ません。暗鬱な気分になるので。あの深作欣二監督「軍旗はためく下に」よりきつい様に感じます。

一部にはこれに近いことが起こったのだろうと思いますが、この場合個人の責任ではなく、国家として責任を取るべきだと。つまり、組織として敵側に降伏する責任があるのでは。国家として、こういう形で国民を酷使することは絶対に許されることではないと思います。

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