レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「雷撃隊出動」昭和19年に公開されたいわゆる戦意高揚映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「雷撃隊出動」(1944)です。

映画は、村上少佐が率いる母艦航空隊は敵機動部隊を攻撃するが、航空機が少なく全滅迄叩くことが出来なかった。航空機受領迄基地航空隊へ移動休養することになった。そこで航空参謀川上、基地航空隊の三上少佐(藤田進)と会い、意気投合する。

やがて、フィリピン東に敵機動部隊を発見するや否や、村上と三上は部下と共に敵機動部隊殲滅に出掛けるのだった…

今回の戦争映画特集では、特にこの作品を紹介したかったと考えていました。理由は、海軍省後援の当時の戦意高揚映画なのですから。但し、ご覧になると解りますが、えっ、この映画が戦意高揚映画なんですか?と思われると思います。暗く重く、勿論戦闘シーンはありますが、淡々としておりとても戦意高揚とは程遠いのではと思います。あの「スターウォーズ」の方が好戦的と思われるでしょう。

私は当時の戦争映画を沢山見ている訳ではありませんが、故佐藤忠男さんによればこれが日本の戦意高揚映画の特徴だとか。敵が登場しても本当に憎いとか殺してやるような感情のほとばしりの様なものは描かず、それを航空機、戦艦、航空母艦に具象化して描くのが我が国の戦意高揚映画で、この作品も有名な「ハワイマレー沖海戦」も同様な味わいです。

淡々として、最後は武士の本懐として敵空母と刺し違えるのが日本軍人なのだと語っているのです。勇ましいというより如何に死すべきかと言う感じで戦争映画と言うより思想映画の様で、面白いと言えば面白いのですが、いかんせんプリントの状態が良くなくて、又音質も良くなくて鑑賞するのに難儀します。

ラストも全員ほぼ特攻で自爆して、誰も戻ってこないガラーンとした基地で司令が敵機動部隊を壊滅して、今度は我々の番だと言わんばかりで…

この作品公開されたのが昭和19年12月フィリピンではレイテの闘いで大敗し、田村一等兵がレイテの荒れ地を彷徨っていた頃ですから。

監督は黒澤明の師匠山本嘉次郎、主演は日本軍人役が得意な藤田進、特技監督円谷英二というあの「ハワイマレー沖海戦」のコンビ第二弾です。冒頭の敵機動部隊攻撃シーン、ラストの敵機動部隊薄暮攻撃、夜間攻撃は当時としては良く出来ていたのでしょう。中々見せてくれます。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。          八点鍾

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