レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「フランス軍中尉の女」カレル・ライス監督入魂の力作でしょうか…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「フランス軍中尉の女」(1981)です。

映画は、1980年英国ドーセット州ライム・レジスで米女優アンナ(メリル・ストリーブ)と英男優マイク(ジェレミー・アイロンズ)が新作映画の撮影に入っていた。それは、「フランス軍中尉の女」と言う作品で、それとは別にアンナとマイクの恋愛模様も加えられており映画の撮影は進行していくのだが…

先にご紹介したジョン・ファウルズ原作「魔術師」を映画化した「怪奇と幻想の島」に続くジョン・ファウルズ原作「フランス軍中尉の女」の紹介です。

いや、今回鑑賞してさすがカレル・ライス監督、とても良く出来ており驚きました。この作品も劇中劇の映画ですが、何というか物凄く上手く映画劇と現代の二人の共演者の感情のすれ違いが、絶妙のタイミングでモンタージュされて、この作品と比較すると「怪奇と幻想の島」はやはり見劣りします。全体のまとめ方も上手いと思います。

又メリル・ストリーブが現代の女優アンナと役名サラをもの凄く上手く演じて素晴らしいの一言です。加えて、映画を見ると解りますがサラは"フランス軍中尉の女"を演じているので、正確に三役を上手く演じていることになります。

特筆すべきは、ビクトリア時代の描写、建物、道、化石発掘、農家、馬車、旅館等が素晴らしく、特に女性の地位の不平等、例えば、地方の貴族で働いていた教育のある女家庭教師が些細なことで解雇された場合、地方ではその貴族の影響力で仕事に就くことが出来ず、ロンドンに出て正業に就くことの難しさ等をさり気なく会話で説明しているところなど素晴らしいと思います。ポランスキー監督「テス」もその辺りをさり気なく映画にしていますが。だから、中盤医師クローガンが言う忠告が生きてくるのですが…

脚本をハロルド・ピンター(2005年ノーベル文学賞受賞)が担当しています。このピンターは時々脚本を書いていますが、「さらばベルリンの灯」「スルース」(2007)等はあまり面白くありませんが、この作品は素晴らしいと思います。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。       八点鍾

 

追記 素晴らしいと書きましたが、やはりこの作品は観客を選びます。そこを間違いない様に。

 

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