レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「ダーク・ブルー」ナチスに併合されたチェコを脱出したパイロットが義勇兵としてRAFで活躍する映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ダーク・ブルー」(2001)です。珍しいチェコ映画です。

この映画はスタジオジブリ初の海外提供作品です。理由は、スピットファイアー戦闘機Mk.Ⅰ,MkⅤが登場するからでしょう。宮崎監督の趣味と言ったら怒られそうですが。

スピットファイアーの美しいこと、スピットに限らず蒼空を舞う航空機の美しいこと、それは誰もが同意してくれると思いますが。

映画は、1950年ミロフ労働キャンプで強制労働をさせられているスラーマ中尉の想い出から始まります。それはドイツによるチェコ併合前の恋人ハニチカとの思い出から始まり、チェコ空軍を抜けて友人カレル少尉と英国への亡命、RAF(英空軍)へ義勇兵として"バトル・オブ・ブリテン"に参加、ルフトバッフェ(ドイツ空軍)との参戦、被弾したカレル機は墜落し、スーザンと言う英国女性に助けてもらう。スラーマも同様に彼女と知り合うようになる。カレルは戦争の後半、海峡での事故で戦死する。

やがて、ドイツは降伏し、生き残ったスラーマはチェコに戻るのだが、そこで彼を待ち受けていたのは…

スピットファイアーを駆って大空を舞う二人の男、決して勇ましくもなく、淡々と空中戦を描くところがこの映画の見所です。ドーバー海峡の上で、あの楕円翼を持った美しいスピットファイアー戦闘機が敵戦闘機メッサシュミットを照準に捕らえ射ち落す。フランスではドイツ軍軍事物資を輸送中の鉄道車両の対地攻撃をして破壊する。この時期が、人生の絶好調だったに違いない。

ミロフ労働キャンプの元SSに所属していたブラシュケ医師が彼を嘲笑う。チェコに帰国してこんな扱いを受けるとは考えてもいなかっただろうと。ドイツ人は同胞にこんな扱いはしない。彼はプラハのコビリシの処刑に立ち合い、来る日も来る日も1ヶ月死体の調査をしたとか。このブラシュケ医師の存在がとても良い。

こういう人物が登場するから、この作品に厚みが増し、蒼空を舞うスピットファイアーのシーンが輝きを増す。そういう映画だ。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。      八点鍾

 

追記 この作品のドックファイトシーンの一部は、あの「バトル・オブ・ブリテン(空軍大戦略)」のショットを使用しています。だから迫力あります。

www.youtube.com

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