レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「弾痕」(1969)です。
映画は、1970年ベトナム反戦、反安保で揺れる日本。CIAの外部組織に所属する滝村(加山雄三)は、非合法活動に精を出している。暗殺を企てる過激ゲリラを始末したり、
日本へ密入国してくる奴等を襲い暗号表を奪ったり、中共からの亡命者を匿ったりしている。ある時、中共側に襲われるが上手くかわす。が、その時リコシェ(跳弾)が若い女性へ。彼は沙織(大地喜和子)を助け、親密な関係を持つようになる。彼の次の標的は、武器商人ローズと呼ばれる男だった…
和製サスペンススリラーです。エスピオナージスリラーと言っても良いと思いますが、ハードボイルドタッチは良いとしてどうも狙いが定まらないようで、失望の一作になっています。監督は、黒澤監督の助監督を務めて監督に昇進した森谷司朗、この作品が七作目になります。
鑑賞したDVDには製作者貝山知弘さんが当時の経緯に語っており、この作品の前に堀川弘通監督「狙撃」を当てて、次の作品はその「狙撃」とは別の切り口で行こうと企画したものだったとか。
こう言っては失礼ですが、何も知らないお客さんが見たら、出来損ないのヌーベルヴァーグのようなシーンもあり勘弁して欲しいと思いますが。全体に重く暗鬱で、もう少し観客に寄り添った映画を製作しないと私は思いますが。
個人的には、滝村が運転するジユジアーロがデザインしたいすゞ117クーペと立川米軍飛行場でフェンス越しに撮影したシーンぐらいかな見所は。共演は岸田森、佐藤慶、岡田英次、納谷吾郎と豪華ですが。
このブログでも紹介しましたが、第一作「ゼロ・ファイター大空戦」の方が面白いと思います。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鍾
音楽担当は、世界の武満徹です。
例えば、こんな感じで製作してくれると嬉しいのですがね。