レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「若者のすべて」あるイタリアの貧しい家族の崩壊と再生という映画…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「若者のすべて」(1960)です。

イタリアの巨匠ルキノ・ビィスコンティ監督の作品です。彼の作品では「揺れる大地」の系列でネオレアリズモ映画と言っていいでしょう。今回は4Kリマスター版なので約3時間、重厚な家族ドラマになっています。

映画は、南イタリア、ルカーニアからミラノにパロンディ家の一族母、シモーネ(レナート・サルヴァトーリ)、ロッコ(アラン・ドロン)、チーロ、ルーカがやって来る処から始まります。長男ビェンチェンツォと恋人ジネッタ(クラウディア・カルディナーレ)の婚約祝いに参加する為だが、些細なことからジネッタの母と喧嘩して婚約祝いは打ち壊しになってしまう。ミラノで生活するためにパロンディ家は、シモーネはボクシング、ロッコはクリーニング店、チーロは夜学で苦学して自動車会社アルファロメオの工場で働き始める。が、悪女ナディア(アニー・ジラルド)にシモーネはたぶらかされて、家族はバラバラになってしまうのだが…

その昔、LDで鑑賞した時には別作品のような印象で、すこし戦後イタリアの歴史を知らないと解り辛いところもありますが、非常に良く出来た人生ドラマになっています。

この作品を鑑賞していて、あのコッポラ監督「ゴッドファーザー」を思い出しました。家族がバラバラになっていく過程がとてもよく似ています。又、アルファロメオで技師になって頑張るチーロが家族を再生するシーンがラストにあり、このシーンで観客は救われるでしょう。やはり、イタリアはアルファロメオですね。

レナート・サルヴァトーリ、アラン・ドロンも良いですが、アニー・ジラルドがこんなに素晴らしいとは初めて知りました。こういう汚れ役を物凄くうまく演じていました。私はクロード・ルルーシュ作品での彼女しか知らなかったので、本当に巧いと思いました。私が最後に彼女を映画で見たのはミヒャエル・ハネケ監督「ピアニスト」で老いた母役でした。何か悲しかった記憶がありました。加えて、ジネッタの登場シーンが少ないのに驚きました。

少し長いですが本当に良い映画です。ご覧になれば、何がしか得るものがある映画と言っていいでしょう。

最後に、この作品4Kリマスターの為、画質、音質は素晴らしく、まるで数年前の映画作品を鑑賞しているようで大変気分がよかったことを記しておきます。

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。       八点鐘

 

追記 一週間程前「アラン・ドロン生誕87年記念イベント」に参加してドロン映画が見たくなったのでこの作品を選んでみました。とても良い作品で本当にアラン・ドロンは素晴らしい俳優だと実感しました。出来れば、多くの方にご覧になってほしい映画だと思います。

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